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自宅で演奏会、夢かなった 仙台の筋ジス患者伊藤さん「自分に戻れ、心救われた」

吉野さん(右)のトランペットを手に談笑する伊藤さん(中央)ら

 難病の筋ジストロフィーを患う仙台市青葉区の伊藤幸子(ゆきこ)さん(66)の自宅で10月中旬、小さなコンサートが開かれた。トランペットの楽曲が好きな伊藤さんを楽しませようと、北海道石狩市のプロトランペッター吉野明一郎(あきいちろう)さん(69)が無償で演奏した。伊藤さんは「夢がかない、言葉にならない」と感謝した。

 マンションの一室で吉野さんがトランペットに力強く息を吹き込み、往年の名曲「夜空のトランペット」「誰よりも君を愛す」などを披露した。
 「音楽って、その時の自分に戻れるからいいね」。伊藤さんは高校時代に聴いたトランペットの生演奏や、かつて親しんだレコードを思い返した。
 筋ジストロフィーは筋肉が徐々に衰え、呼吸機能などが低下する疾患の総称。伊藤さんは2007年に診断された。頭部と両腕の肘から下のみを動かすことができ、ヘルパーのサポートを得て生活する。
 今春、病気などで美容室に通えない人たちを対象とした「出張美容」を利用した。その際、伊藤さん宅を訪れたのが、吉野さんの妻で青葉区で美容室を営む友子さん(61)だった。
 30年ほど前、友子さんの美容室に通っていた伊藤さん。近況を報告し合ううち「(吉野さんの)トランペットを聴きたい」と願い出た。本人も快諾し、自宅でのコンサートが実現した。
 吉野さんは北海道や宮城の老人ホームや結婚式、音楽葬の会場などで演奏している。「お客さんの顔を見て曲を決める。喜ばれるのが一番うれしい」と語る。
 演奏を聞き終えた伊藤さんは「心が救われた」と感激した面持ち。「病気を患ってから障害者の実生活に介護制度が合っていないことに気付いた。もっと利用しやすい制度にしていきたい」と意気込んだ。


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2018年11月11日日曜日


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