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<東北の本棚>命の輪教えた盲目の牛

◎ゆうなとスティービー 堀米薫 さく 丸山ゆき え

 「ゆうな」の家は肉牛を育てる農家。ある晩、苦労の末に生まれた子牛は両方の瞳が青白く、全く物を見ることができなかった。
 盲目の米国人歌手スティービー・ワンダーにちなんでお父さんがスティービーと名付けたその牛は、ゆうなの大切な友だちになった。名前を呼び掛け、哺乳瓶でミルクを飲ませる。小学校に上がると、教室であった嫌なこと、楽しい出来事も聞いてもらった。
 ゆうなとともにスティービーもどんどん大きくなる。赤ちゃん牛はいつしかおとなの牛に。どんなに仲良しでも、ずっと一緒に暮らせるペットと家畜とは違う。やがて出荷され、食肉という商品になる運命だ。
 「うしたちは、たくさんのひとのいのちになるんだよ」。お父さんは言う。ゆうなはスティービーとの出会いと別れを通じて、支え合う大きな命の輪を知る。寂しいけれど誇らしい。
 著者は角田市在住で和牛肥育と稲作を手掛ける専業農家。かつて盲目の子牛が生まれ、家族で試行錯誤しながら育てた実話を基に構想した。
 会話が聞こえてきそうな子どもと牛との触れ合い、美しくも厳しい四季の牧場風景。温かみのある手描きの絵が物語の世界へと自然に引き込む。最終ページは角田から見える宮城蔵王の山並みだという。
 ポプラ社03(5877)8109=1512円。


2018年11月11日日曜日


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