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津波被災で解体「第18共徳丸」巨大画で再び 宮城の画家制作「海に戻る姿見て」

ステージ上に飾られる巨大画「共徳丸と海」
解体前の共徳丸=2013年9月

 東日本大震災の犠牲者の鎮魂と古里の復興を願い、18日に気仙沼市民会館であるコンサートと芸術、シンポジウムを組み合わせた「コンポジウム気仙沼2018」のステージに、津波で気仙沼市鹿折地区に打ち上げられ解体・撤去された大型漁船「第18共徳丸」(330トン)の巨大水彩画が飾られる。作者で宮城県蔵王町の水彩画家加川広重さん(42)は「海に戻る共徳丸の姿を見てほしい」と呼び掛けている。
 加川さんの作品「共徳丸と海」は縦5.4メートル、横16.4メートル。震災直後のがれきが残る陸地で共徳丸が朝焼けに包まれた光景を描いた。2016年夏から構想を練り、今年3月から約半年かけて完成させた。8月に仙台市内であった展覧会で展示した。
 南三陸町防災対策庁舎など被災地を題材にした巨大水彩画を描いてきた加川さん。共徳丸の迫力ある姿を表現したいとの思いはあったが、「撤去を求めた住民の感情を考えると描くことに抵抗もあった」という。
 市が震災遺構で保存を目指したが、船を所有する水産会社が被災者感情に配慮して解体を決断。市も保存を断念した経緯がある。解体は13年10月に完了した。
 現地に何度も足を運び、住民から話を聞いた加川さんは次第に、共徳丸に対する地元の愛着の強さを実感するようになった。「撤去を求めた理由が震災を思い出すからだけではなく『海で活躍した共徳丸を陸に残すのがかわいそうだった』との声もあった。作品を残す決断をした」と明かす。
 作品では船首の部分から、カモメが舞う光景と海の水平線が透けて見える。「写真のようにただ忠実に描いたのではない。共徳丸が再び海に帰っていく姿を感じてもらいたい」と話す。
 当日は加川さんが絵に込めた思いを語る。催事終了後は作品前で記念撮影も可能。午後1時半開演。入場無料。連絡先は実行委員会0226(22)0286。


2018年11月15日木曜日


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