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<奥州・総合水沢病院>建て替え計画迷走、対立の果てに…院長退職、小児科休診へ 広がる不安

院長の退職で小児科が休診する総合水沢病院

 岩手県胆江(たんこう)地域で中核医療を担う奥州市総合水沢病院の建て替え計画が迷走している。新病院建設の議論が進まない中、小沢昌記市長は現病院の補強工事を提案。これに常勤小児科医の半井潔院長が反発し、病院を去ることになった。小児科は11月末の休診が決まり、多くの住民が地域医療の今後に気をもんでいる。(北上支局・布施谷吉一)

<開院遅れ確実>
 市は「現病院は大地震で倒壊の恐れが指摘されている」として2021年度の新病院開院を表明し、専門家や地域団体代表でつくる有識者会議に計画を示した。
 だが地元の医師会、歯科医師会、薬剤師会が「地域医療計画の全体像が見えない」などとして会議をボイコットしてしまった。
 関谷敏彦奥州医師会長は「人口減に伴う医療体制の整備は喫緊の課題だが、市は現状把握を怠ってきた」と批判する。議論は止まり、新病院の開院時期が1年以上ずれ込むのは確実だ。

<「非難は覚悟」>
 膠着(こうちゃく)する事態を打開しようと小沢市長は、6月定例市議会で現病院の応急補強工事を提案。この方針に、今度は半井院長が不満を表明した。
 「補強工事をすれば、いつ開院できるか分からなくなる。市長は新病院を建設する努力をしていない」と語気を強め、退職の意思を固めた。
 当初は慰留に努めていた小沢市長も、10月の定例記者会見で「関係修復は絶望的」と退職を容認。「新病院建設はポーズではない」と反論してみせた。
 水沢病院の小児科診療は半井院長が35年以上、常勤医として患者の面倒を見てきた。「不本意だが、非難を覚悟の上で退職を決めた」と語り、入院患者は盛岡、北上、一関各市の病院に引き継ぐ。
 小児科休診に奥州市の30代女性は「医師と信頼関係をつくるのは時間がかかる。子どもにぜんそくや食物アレルギーがあり、どうしたらいいのか」と不安を口にした。

<常勤医2人も>
 市長と院長の対立は、病院内に少なからず動揺を引き起こしたようだ。常勤の内科医4人のうち2人が本年度中に退職することになり、病院関係者は「救急搬送の受け入れなどに影響が出かねない」と頭を抱える。
 市は岩手医大、県などと連携して医師確保に奔走するが「県内の医師は半数以上が盛岡市周辺にいて、他の地域が医師を確保するのは難しい」(県医療政策室)。
 関谷奥州医師会長は「水沢病院を含め、病院と病院、病院と診療所が協力し、地域全体で医療を支える仕組みを早急につくり直す必要がある」と話す。


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2018年11月15日木曜日


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