
<核のごみ 漂流する処分策>NUMOの科学的特性マップ説明会 東北で懸念や反発相次ぐ
NUMOは、核のごみの最終処分地の選定や建設、運営を担う。手始めに科学的特性マップの説明会を各地で展開する。東北では懸念や反発を招いた。
「なぜ釜石でこの時期に開くのか」。釜石市で10月21日にあった説明会は、序盤から紛糾した。
市内では1988年から10年間、旧動力炉・核燃料開発事業団が地層処理の基礎研究を実施。市議会は最終処分地の拒否宣言を決議した歴史がある。
マップでは、岩手県沿岸は全て輸送面でも好ましい地域。しかも当日は一大行事「釜石まつり」と重なり、不信と疑問が噴出した。NUMOの担当者は「県庁所在地は一巡し、交通の利便性などから釜石を選んだ」「旧動燃の経緯は知っているが、別組織だ」などと釈明に追われた。
会場からは「なぜ原発を再稼働し、最終処分が大変な核のごみを増やすのか」との意見もあった。市内の会社員の男性(48)は「地域の感情は分かるが、原発の恩恵を受けたわれわれの世代が解決に進まないといけないのでは」と話した。
日本原燃が核のごみを一時貯蔵する青森県。事あるごとに、知事が経済産業相に最終処分地にしない約束の順守を求める光景が定着した。青森が最終処分場化される不安が消えないからだ。核のごみは2045年に最初の保管期限を迎えるが、最終処分場は建設まで約30年かかるとされ、単純計算では間に合わない。青森市で7月に開かれた説明会でも「本当に間に合うのか」「どこの自治体も手を挙げなかった場合はどうなるのか」などの指摘が出た。
マップが公表された17年7月、世耕弘成経済産業相は青森県と原発事故に遭った福島県を候補地から外す考えを示した。
2018年11月15日木曜日