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編み物通した被災者支援活動に幕 盛岡の団体技術向上、自立へ道筋 他の被災地に事業継承も

盛岡市であった岩手県内最後の販売会。編み手たちは自立の道を歩み始めた
盛岡市であった岩手県内最後の販売会。編み手たちは自立の道を歩み始めた

 東日本大震災の被災者にニット製品の手編みを指導してきた盛岡市のボランティア団体「ハートニット」が、7年半以上に及ぶ活動に終止符を打つ。有名ブランドから注文が入るほどに編み手の技術が向上し、自立の道筋がついたと判断した。岩手での取り組みは幕を下ろすが、活動理念は各地の災害被災地に受け継がれ、被災者を支え続ける。
 ハートニットは2011年3月30日、震災発生から1カ月足らずで活動を始めた。岩手県沿岸部で被災した女性たちに毛糸と編み方を示した図面を送り、完成品を全国のデパートなど445会場で販売してきた。
 売上額の累計は5300万円に達し、全額が編み手の収入になる。盛岡市の百貨店「川徳」では13日、県内最後の販売会が開かれた。
 活動実績と手編み技術が認められ、昨年は英国の有名ブランド「マーガレット・ハウエル」との提携を開始。国内の一部店舗で販売するマフラーや手袋を2000点以上納品した。
 全国に店舗を構える東京の帽子メーカー「CA4LA(カシラ)」へのニット帽納品も予定しており、寒河江市の「佐藤繊維」とも自社ブランド製品の開発で協力が決まった。これら新規の取引が軌道に乗るまでは、ハートニット関係者が支援を続ける。
 日用衣類に加え、新生児の写真撮影サービス「フォトピア」(東京)がおくるみにニットを採用するなど、研さんを積んだ編み手の技術に注目する業界が増えている。
 編み手は現在約40人で、それまで編み物をしたことのない人もいた。ハートニットスタッフの松ノ木和子さん(67)は「震災のつらい経験に負けず、地道に努力を続けてきた結果だ」と胸を張る。
 ハートニットは12月に東京で開催のバザーで活動を終えるが、熊本地震の被災者支援団体に事業ノウハウを伝授して昨年、現地に支部が誕生した。西日本豪雨で甚大な被害が出た岡山県倉敷市真備町地区の被災者にも毛糸を送った。
 松ノ木さんは「震災前の日常に戻るのではなく、活動を通じて新しいなりわいやつながりを生むことができた」と活動を総括。「継続が大切。ボランティア経済から市場経済へと踏み出しても頑張ってほしい」と独り立ちする編み手にエールを送った。


2018年11月16日金曜日


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