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<東日本大震災>被災中小無利子貸し付けの返済本格化 宮城の水産加工業者苦境、猶予の延長訴え

石巻市の水産加工団地の一角。水産加工業者は販路の縮小や原料不足で苦境に立たされている

 東日本大震災後、グループ化補助金の交付を受けた中小企業のうち、自己負担分に無利子貸付制度を利用した事業者の資金返済が本年度以降本格化し、宮城県内の水産加工業界に不安が広がっている。当初描いた再建計画は、不漁による原料不足や価格高騰、販路の喪失で後退を余儀なくされている。業界は最長5年の返済猶予期間の延長など実情に沿った支援を訴える。(石巻総局・関根梢)

<販路回復せず>
 「震災から1、2年の間は以前の水準まで売り上げが戻ると思っていたが、現実はそうはいかなかった」
 タラの加工などを手掛ける布施商店(石巻市)の布施三郎会長(68)は苦渋の表情を浮かべる。
 工場は津波で被災し、グループ化補助金を活用して2013年に再建した。自己負担分は無利子で借りられる高度化スキーム貸付制度を活用。20年1月に返済が始まる。
 回復を見込んだ販路は東京電力福島第1原発事故の風評や震災後の操業休止が響き、縮小したまま。補助金で購入した設備の一部は稼働できず、売り上げは震災前の4割にとどまる。
 一方で、消費者の安全志向の高まりなど時代の要求に応える事業を展開するにはさらなる設備投資が必要だ。布施会長は「他の返済も始まっており、資金繰りが大変。実情に即した計画の見直しが必要になる」と厳しい認識を示した。

<設備が過大に>
 宮城県企業復興支援室によると、県内のグループ化補助金交付決定団体は17年度末時点で計4126件。交付額は合わせて2590億円に上る。返済期間20年以内の高度化スキーム貸付制度の利用は404件で、最長5年の据え置き期間を経て18、19年度に返済開始のピークを迎える。
 グループ化補助金で再建を目指す水産加工業者の中には売り上げが当初の予想を下回り、現状の事業規模に対し設備が過大になっているケースも出てきた。
 水産関係者でつくる石巻市水産復興会議は1日、返済の据え置き期間延長などを求める要望書を亀山紘市長に提出。被災事業者の継続的な支援を要請した。
 代表の須能邦雄石巻魚市場社長は「当初予定していた事業計画から大幅に後退し、返済計画の見直しを求める企業が増えてきている」と危機感をにじませる。
 貸付制度窓口のみやぎ産業振興機構の担当者は「企業の状況に合った形で最良の方法を探りたい。関係機関と連携し、相談に応じていく」と話した。

[グループ化補助金]東日本大震災を契機に創設された制度で、地震や津波などで被災した中小企業が施設や設備を復旧する資金をグループ単位で補助する。地域の復興に役立つことを条件に、国が事業費の2分の1、道や県が4分の1をそれぞれ上限として助成。残る4分の1は自己負担となる。被災企業はグループで復興事業計画を作成し、認定を受ける必要がある。


2018年11月17日土曜日


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