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亡き妻へ届け太鼓の響き 気仙沼の語り部・佐藤さん、生前の勤務先に川崎の奏者招き演奏会

千代園さん(左)を入居者らに紹介する佐藤さん
力強い演奏を披露する千代園さん

 東日本大震災の津波で妻厚子さん=当時(58)=を亡くし、震災の語り部活動を続けている気仙沼市本吉町の元消防職員佐藤誠悦さん(66)が5日、被災地支援を通じて交流を深める川崎市の太鼓奏者千代園剛さん(32)を招き、厚子さんが勤務していた特別養護老人ホームで演奏会を開いた。国内外で活躍する千代園さんは「誠悦さんの奥さまがつないでくれた縁を大切にしたい」と熱演した。
 演奏会は気仙沼市本吉町の「春圃苑」であり、入居者や地域住民ら約100人が集まった。園庭に作られた特設ステージで、千代園さんはオリジナル曲やソーラン節などを約40分間にわたり披露した。
 津波で自宅が被災した同市本吉町の農業及川安晴さん(70)は「心に響く太鼓だ」と感慨深げだった。
 佐藤さんは語り部として東京に出向いた2015年夏、千代園さんと知り合った。被災地支援と「太鼓が大好き」と話した佐藤さんを励ますため、千代園さんは同年10月18日に本吉町であった祭りで太鼓をたたいた。
 18日は厚子さんの誕生日でもあり、千代園さんは佐藤さんの自宅でも演奏。その後も交流は続き、佐藤さんが企画する田植えのイベントで千代園さんが太鼓をたたくこともあった。
 ケアマネジャーを務めていた厚子さんは、1人暮らしの高齢者宅を訪問した際に津波にのまれた。佐藤さんが「女房が世話になった場所で演奏してほしい」と依頼し、千代園さんが快諾した。
 演奏会の直前、厚子さんの遺体が見つかった海岸で手を合わせた千代園さんは「亡くなられた奥さまが誠悦さんと自分をつないだ。悲しい出来事ではあるが、震災で結ばれた縁を今後も大事にしたい」と誓った。
 佐藤さんは「女房が世話になった方々に、この太鼓の音を聞かせたかった。気持ちがこもった素晴らしい演奏だった」と感謝した。


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2018年11月19日月曜日


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