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震災の記憶刺しゅうに 38人がつないで残す 仙台のNPOが講座

天野さん(左から2人目)のアドバイスを受けながら布を選ぶ参加者

 東日本大震災前後の被災地の風景を、布と糸で自由に表現する「フリー刺しゅう」で残そうと、仙台市の女性たち38人が作品作りに取り組んでいる。各自が25センチ四方の布に刺しゅうし、つなぎ合わせて1枚の大きなタペストリーに仕上げる予定だ。
 NPO法人イコールネット仙台が主催する3回続きの講座「ししゅうで伝える『わたしの物語』−東日本大震災の記憶」の一環。フリー刺しゅう画家として活動する昭和女子大名誉教授天野寛子さん(78)=東京都=が指導している。
 天野さんは震災や東京電力福島第1原発事故をテーマにした作品を制作してきた。2013〜15年、津波で消滅した陸前高田市の高田松原の松林を「針仕事で作ろう」と呼び掛け、市内外から集めた741枚の刺しゅう作品をつなぐプロジェクトも手掛けた。
 10月31日に仙台市若林区のせんだい3.11メモリアル交流館であった講座の初回では、参加者が持参した写真や絵を基に「被災前の貞山運河」「荒浜小校歌のレリーフ」「復興工事のダンプカー」などを布に描き写した。
 天野さんは「上手下手を他人と比べることなく、一人一人が風景と物語を布に再構築することが大切だ」とアドバイスした。
 宮城野区の会社員遠藤たか子さん(61)は蒲生地区の自宅にかつてあったクリの木の絵を持参した。「『孫に拾わせたい』と義父が植えた思い出の木だったが、津波でなくなった。クリの絵を描くと癒やされるので刺しゅうしようと思う」と話した。
 仕上がったタペストリーは来年、メモリアル交流館に展示する。イコールネット仙台の宗片恵美子代表理事は「刺しゅうは私たちの経験を伝え、女性の学びや備えにつなげる一つの手法だ」と話す。


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2018年11月19日月曜日


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