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伝統里芋「相馬土垂」給食で復活 地元農家・菊地さんが生産開始、ブランド化へ

相馬土垂の給食を楽しむ相馬市大野小1年の児童たち
大野村農園で収穫された相馬土垂

 相馬市で約30年前に生産の途絶えた伝統野菜の里芋「相馬土垂(どだれ)」が、11月から市内の全小中学校の給食で振る舞われている。相馬市の大野村農園代表の菊地将兵さん(32)が生産を始め、復活させた。原子力災害で傷ついた相馬産食材に対する市民の誇りを取り戻すシンボルにしようと、地元の飲食店などにも連携を呼び掛けている。

<厳しい風評被害>
 菊地さんは香川県や栃木県などの農家で4年ほど研修を積み、いざ就農しようとした時に古里を東京電力福島第1原発事故が襲った。営農が厳しいことは想像できたが、生まれ育った土地を見捨てることはできなかった。東日本大震災の2カ月後に相馬市に戻り、農園を開いた。
 地元スーパーなどに出荷した野菜は全く売れなかった。他県産より10円、20円安い値札に書き換えても見向きすらされなかった。「何で相馬のものを食べなければいけないのか」と、客になじられることもあったという。
 厳しい風評被害に苦しんだ菊地さんが目を付けたのは、「地元で育てないと成立しない伝統野菜」だった。相馬土垂の種芋を持っている生産者を探し当て、20株譲り受けた。2016年に無農薬、無化学肥料で栽培を始めた。

<安全理解が進む>
 相馬市教委に給食での活用も呼び掛けた。「相馬の食材を食べずに育つ子どもが、相馬に愛着を持てるのか」と訴えた。地場産品の安全性に対する理解が進んだこともあり、市教委は18年度、給食での地産地消を進め、相馬土垂の提供を決めた。
 菊地さんの母校の大野小では7日、相馬土垂を使った「みそけんちんうどん」が給食にお目見えした。1年生はその1週間ほど前、大野村農園で芋掘りも体験。子どもたちは「ねばねばしておいしい」「おかわりする」などと話し、伝統野菜を楽しんだ。
 菊地さんは給食をスタートと捉え、ブランドの確立を目指す。「相馬土垂をきっかけに他の地元食材の消費拡大につなげたい。相馬の食の誇りを取り戻す」と気合を入れる。
 相馬土垂は来年1月ごろまで大野村農園で販売する予定。連絡先は同農園090(7574)3114。

[相馬土垂]ねっとりした食感と素朴な味わいが特長。5月に種芋を植え10月末ごろから1カ月程度、収穫できる。相馬地域の一部農家が代々栽培してきたが、1980年代前半ごろに姿を消したという。


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2018年11月19日月曜日


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