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<ILC>「計画は欧米から期待」推進派が学術会議案に反論

 岩手、宮城両県にまたがる北上山地が建設候補地の超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致を目指す高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)などは20日、計画に慎重な姿勢を示した日本学術会議の検討委員会に意見書を提出したと発表した。検討委が計画の妥当性を審議して作成した文部科学省への回答案について「事実誤認や理解不足がある」と反論した。
 KEKは検討委がILC計画の優先性を疑問視したことに関し「国内外で素粒子物理学の研究者が議論を徹底し、他の研究課題に比べて優先性があると合意した」と強調した。
 根拠として、欧州で展開される素粒子物理学戦略や米国の有識者会議で「新物理の探究の新しい手段となる」と日本主導の計画に期待が表明されたと記した。
 検討委が示した「技術的、経済的な波及効果が限定的」との見解には「欧州合同原子核研究所(CERN)の素粒子物理学研究は医療やエネルギー、通信技術などに大きく波及した」と反証を挙げた。
 計画意義を「アジア初の大型国際研究機関として世界の基礎科学をリードし、高度な人材を輩出する拠点となる」と説明した。
 実現への現状認識は「政府が建設の承認ではなく、国際協議を進めるかどうかを判断する段階だ」と触れた。国際的な協議を経て誘致の可否を判断する必要性を指摘した。
 産学官の東北ILC推進協議会も意見書を提出。岩手県内企業による加速器関連産業研究会を示し「国際拠点を基盤に地方創生や経済波及、人材育成の効果が期待できる」と強調した。
 意見書は19日付。集約した研究者10人は20日、東京都内で記者会見。東北ILC準備室長の鈴木厚人岩手県立大学長は「ILCは地域や日本にとって、かけがえのない施設となる。公正に評価してほしい」と語った。検討委は年内にも正式回答を文科省に提出する。


2018年11月21日水曜日


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