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震災体験継承 人材を育成 仙台市が職員向け講座

 仙台市は東日本大震災の教訓を市役所内で共有・伝承するため、災害対応に関わった市職員の体験談を聞く「災害体験継承講座」を30日に開講する。市職員の自主勉強会「Team Sendai(チーム仙台)」が取り組む災害エスノグラフィー調査を活用。震災発生当時の状況を疑似体験させ、行政として大規模災害時に行動できる人材の育成に乗り出す。
 初回のテーマは「避難所&罹災(りさい)証明」。震災時、宮城野区長として避難所運営を指揮した木須八重子氏(現せんだい男女共同参画財団理事長)、資産税課長として罹災証明発行を統括した遠藤理氏(現税務部長)が同区役所で体験を語る。
 避難所運営は大勢の職員が投入される業務で、罹災証明発行は西日本豪雨などの被災地から職員派遣の要請が多かった。講話後はグループに分かれて話し合い、東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授が全体を講評する。
 講座は年1回程度の開催を計画。災害エスノグラフィー調査に協力した市職員、元市職員の講話、ワークショップなどさまざまな手法で、チーム仙台が聞き取りした震災の体験記に触れてもらう。
 チーム仙台は2012年、災害エスノグラフィー調査を始めた。本年度は東北大、常葉(とこは)大(静岡県)、仙台市との共同研究に発展。これまで30人以上から聞き取りし、記録を冊子にまとめる作業を進めている。
 市職員有志の地道な活動が組織を動かし、市による講座創設につながった。市防災環境都市・震災復興室の高橋輝(あきら)室長は「教訓を受け継ぐ意識の高い若手職員も多く、それに応えたい。震災体験の伝承が市役所の職員文化として浸透すればいい」と話す。

[災害エスノグラフィー調査]災害現場に居合わせた人や、災害対応をした人の体験を聞き取り、目に映った災害像を明らかにして記録する手法。質問項目を設けない「問わず語り」で何を体験し、どう感じたか時系列に述懐してもらう。居合わせなかった人が災害を追体験し、教訓を共有する。1995年の阪神・淡路大震災以降、一部の研究者が実践してきた。


2018年11月23日金曜日


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