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イノシシと列車の衝突続出 山形県内、侵入防止柵設置も効果いまひとつ 頭抱えるJR

昨年12月に設置された動物侵入防止柵。効果はあまり上がっていない=上山市(JR東日本仙台支社提供)

 JR東日本が山形県内で相次ぐイノシシと列車の衝突事故に手を焼いている。衝突した列車に平均40〜50分の遅れが出て、後続のダイヤも乱れがちだ。昨年12月には多発区間に初めて侵入防止柵を設置したが、効果はいまひとつ。専門家は「イノシシは柵のない所から侵入するため効果は期待薄」と指摘しており、打つ手がないのが実情だ。

 JR東によると、県内のイノシシとの衝突事故は2015年に初めて発生。年2、3件ずつあったが、今年は既に5件になった。
 この4年間で、仙山線では面白山高原−山寺間、山寺−高瀬間で各2件、奥羽線では羽前中山−かみのやま温泉間で3件、赤湯−中川間2件、板谷−峠間1件の計6件に上る。今年は初めて陸羽東線でも発生し、瀬見温泉−東長沢間で2件起きている。
 同社は昨年12月、最も件数が多い奥羽線の羽前中山−かみのやま温泉間の線路東側に長さ約50メートル、高さ約1.5メートルの動物侵入防止の柵を設けた。しかし、今年5月には、同区間の柵のない場所でイノシシとの衝突が再び発生した。
 今月8日夕には一つ南の中川−羽前中山間でも普通列車にイノシシの可能性がある動物が衝突。この日は山形市で全国農業担い手サミットの全体会があり、出席された皇太子さまが後続の山形新幹線で帰途に就いていたが、衝突の影響で東京駅到着が予定より11分遅れた。
 イノシシなどの動物と衝突した列車は乗客の無事と車両の安全を確認した上で徐行運転し、次の駅で安全点検をすることになっている。死骸が線路に残っている場合は、社員が現場に向かって撤去するまで運転を再開できないため、さらに遅れは拡大する。
 陸羽東線の瀬見温泉−東長沢間で13日に起きた衝突でも、死骸の撤去に新庄駅から社員2人が出動。最終的に上下計3本に最大1時間5分の遅れが出た。
 死骸は通常、地元猟友会に引き渡し、自治体の処分場などに運ばれるほか、土地所有者の許可を得て現場近くに埋めるケースもあるという。
 JR東日本山形支店は安全性や定時性確保のため、今後も多発区間に柵の設置を検討する方針。だが、山形大理学部の玉手英利教授(生物学)は「イノシシは柵のない場所から線路に入る。周辺の環境調査で原因を明確にした上で柵を設置しなければ、効果は限定的でコストもかさむだろう」と話す。

[山形県内のイノシシ捕獲数と農作物被害]山形県内では明治末期からイノシシの生息情報が途絶えていたが、近年、村山地方、置賜地方で捕獲数や目撃情報が増えている。2017年度の捕獲数は888頭、農作物被害額は5000万円を超えた。特に村山地方には仙台市西部からイノシシが侵出しているとみられ、奥羽山脈沿いの自治体で被害が集中。山形、天童、上山の各市では17年度までの5年間で被害が数倍から数十倍に激増している。


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2018年11月24日土曜日


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