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<検証 村井流>就任13年の足元(下)偏重と腐心/手薄の福祉 ようやく

だて正夢の販売出発式で気勢を上げる村井知事(前列右)=10月26日、JR仙台駅

 宮城県の村井嘉浩知事は4期目就任後、1年が経過した。東日本大震災からの復興で実績を重ね、県政のかじ取りに自信を深める一方、濃さを増す1強の色を危ぶむ声も上がる。13年を経た知事の足元を検証した。(宮城県政取材班)

<次は農水産>
 JR仙台駅で10月26日にあった宮城県の新ブランド米「だて正夢」のPRイベント。ひとめぼれ以来となる大型銘柄を、知事村井嘉浩はこぶしを振り上げ先陣を切って売り込んだ。
 高価格帯米の成功の鍵を握る首都圏にも、頻繁に足を運ぶ。東京・六本木でデビューイベントを開き、表参道に開いた期間限定のアンテナショップにも駆け付けた。
 企業誘致の局面ではいかんなく発揮して見せたトップセールスを、「取り組みが弱い」(与党県議)とされる1次産業で繰り出す村井。成果を自負する経済政策や震災復興の陰で、手薄だった分野の手当てを探り始めた。
 県は2019年度、現行の農林水産部を分割し「農政部」と「水産林政部」を新設する。知事就任2年後の07年度に当時の産業経済部を分割して以来、12年ぶりの部局再編となる。
 産業経済部から誕生した経済商工観光部は、トヨタ自動車東日本(大衡村)をはじめとする大型企業の誘致に成功。初当選時からの村井の代名詞である「富県戦略」を支える。
 「(前回再編した)当時から、農林水産部は一つでいいのかどうかという問題意識を持っていた」と強調する村井。その狙いを県OBは「経済での成功体験を1次産業で再現しようということか」と分析した。

<下位ばかり>
 「弱い」を通り越し「冷たい」とまで評されることもある福祉・教育分野。全国44位(17年)の合計特殊出生率をはじめ保健福祉分野の指標は「ほとんどが下から数えた方が早い」(県職員)。県内小中学生の全国学力テストの結果は下位に沈み、いじめ・不登校は全国ワースト級だ。
 河北新報社が県内首長と県議に実施したアンケートで、「子育て・教育」「医療・福祉」を評価できないと回答したのは半数近くに上った。
 「現状はマイナス。ゼロにする政策すら見当たらない」(県南の首長)「子育てや福祉に冷たい姿勢は就任時から一貫する」(野党県議)とやり玉に挙がる。
 15日にあった県議会予算特別委員会。東日本大震災で親を亡くした子どもに支給する「みやぎこども育英基金」を巡り、村井は支給対象を交通・海難事故による遺児にも広げる考えを表明した。「親を亡くした子どもの間に差が出ないよう配慮したい」と身ぶり手ぶりを交え、熱く語った。
 最近、野党県議の一人は村井から「福祉に目を向けてやっていきたい」と直接伝えられたという。「種をまき、育てようとする姿勢は感じる」と話し、変化の兆しをくみ取る。
 村井はかつて、富県戦略の目的を「豊かな県となって税収を増やし、福祉や教育を充実させる」と解説した。県幹部は「ようやく福祉や子育てに振り分けられる環境が整ってきたということだ」と代弁する。
 「偏り」から脱却する試みは本気か、あるいはパフォーマンスなのか。14年目の県政運営が新たな領域に踏み出そうとしている。(敬称略)


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2018年11月25日日曜日


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