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<原発ADR打ち切り>浪江町民109人提訴「裁判で和解案受け入れへの強制力を持たせたい」

提訴前、集会を開く原告ら=27日午後2時10分ごろ、福島地裁前

 福島県浪江町の人口の7割超の約1万5700人が申し立てた東京電力福島第1原発事故に伴う慰謝料増額の和解仲介手続き(ADR)が打ち切られた問題で、町民49世帯109人が27日、避難などへの慰謝料として東電と国に1人当たり1100万円の支払いを求める訴えを福島地裁に起こした。ADRに加わっていた原告は東電に対し、ADRの和解案を拒まれたことへの慰謝料として1人当たり110万円も求めた。
 訴状によると、1100万円は「避難」「コミュニティー破壊」「被ばく不安」に対してで、東電に求めた110万円は早期解決を目的にした和解案を拒否されたことに伴う精神的苦痛に対する慰謝料。
 原告団には103世帯246人が参加しており、49世帯以外は追加提訴する予定。弁護団は12月〜来年1月、県内と東京で提訴に関する説明会を開く。原告は750世帯の1500〜2000人規模になる見通しで、さらに増える可能性もあるという。
 浪江町は2013年5月、町民の代理として慰謝料月額10万円を35万円に増額するよう、東電に求める集団ADRを申し立てた。原子力損害賠償紛争解決センターは月額5万円を上乗せする和解案を提示し、東電は6度にわたり拒否。センターは今年4月、町に仲介の打ち切りを伝えていた。

 原告団は27日の提訴後、福島市で記者会見した。南相馬市に避難中の団長鈴木正一さん(68)は「ADR申し立てから5年待ったが解決できなかった。裁判で和解案受け入れへの強制力を持たせたい」と強調した。
 ADRの先頭に立ってきた馬場有前町長は今年6月27日、69歳で亡くなった。鈴木さんは提訴前の集会で「きょうは前町長の月命日。失われた仲間の思いを胸に、決意を新たにした」と語った。
 ADRを申し立てた町民のうち、900人以上が10月末までに亡くなっている。浜野泰嘉弁護士は「(早期解決が目的の)ADRが機能不全に陥っている。提訴を通して東電の姿勢を改めさせたい」と話した。


2018年11月28日水曜日


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