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<仙台・福島美術館>年内閉館、38年の活動締めくくる企画展へ 歴代藩主の作品など12月4日から

展示される伊達綱宗作「弁財天牡丹図」
2019年度中の取り壊しが決まっている福島美術館=仙台市若林区土樋

 仙台市若林区土樋の民間美術館「福島美術館」が12月22日、展示活動にピリオドを打つ。38年の活動の最後を飾る企画展「幸せ願う・めでた掛け」が12月4日に始まる。美術館は「設立者福島禎蔵が愛したコレクションで、ちょっと早い正月気分を味わってもらいたい」と来館を呼び掛けている。
 約60点の展示品のうち、注目は仙台藩歴代藩主の作品。3代藩主伊達綱宗の「弁財天牡丹(ぼたん)図」は三幅一対の大作。中央に琵琶を奏でる「福徳の神」弁財天、左右に富貴を意味する大輪のボタンを配置する。優しげな女神の表情、豪華な花の描写は殿様の趣味の域を超えている。
 6代宗村の水墨画「葡萄(ぶどう)図」は吉祥図の典型。多くの実を結び、ぐんぐん伸びる生命力の強さから、ブドウは子孫繁栄の象徴とされる。藩の安泰を願う藩主の心理がうかがえる。
 主催者の思いが色濃く表れているのが、狩野古信作「郭子儀唐子図(かくしぎからこず)」。子どもたちと戯れる中国の老将軍を描いた。老人を設立者の福島禎蔵氏(1890〜1979年)、子どもを数々のコレクションに見立て、来館者の長寿と繁栄への願いを込めた。
 テーマとは別に、リクエストが多かった初代政宗の手紙「鮎貝日傾斎(あゆがいにっけいさい)宛書状<茶の湯の稽古>」も展示する。当時流行の最先端だった茶の湯の席に家臣を誘う内容。先進文化を積極的に学ぼうとする、22歳の政宗が記した貴重な資料だ。
 尾暮まゆみ学芸員は「仙台藩の歴代藩主は、初代藩主政宗以外も優れた芸術的センスの持ち主だった。最後の機会に彼らが残した秀作の数々をじっくり見てほしい」と話す。
 福島美術館は1980年開館。東日本大震災による施設損傷で一時休館し、2012年に再開した。ビルの老朽化が進んだことから、19年度中の解体が決まっている。
 期間中、日・月曜休館。


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2018年11月30日金曜日


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