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<岩手大・学内カンパニー繁盛記>本物の起業 挑戦に期待/船崎健一理工学部長に聞く

[ふなざき・けんいち]東北大大学院工学研究科修了。岩手大工学部長を経て2016年から現職。専門は流体工学。新潟県出身。61歳。

 学生たちが主体となって運営する岩手大の独自組織「学内カンパニー」が発足10年を迎える。ものづくり人材の育成を目指すユニークな制度の成果や展望を、発案者の船崎健一理工学部長に聞いた。(聞き手は盛岡総局・斎藤雄一)

<資金渡し緊張感>
 −発足のきっかけは。
 「学生にとって今後必要になるであろう起業家精神を養う場が必要だと感じていた」
 「ただ、ベンチャー企業を始めようとハッパを掛けても『岩手でベンチャーですか』と戸惑われてしまう。そこで、まずは講義で身に付けた技術を生かす形で会社を起こすまね事をしてみようと思い付いた」

 −学生に大学から経営資金を給付している。
 「社長や社員となる学生にお金が渡るという仕組みは、恐らく他の大学にはない。わずかな資金での会社運営や活動の報告義務を通じて緊張感も生まれる。実際に大人の世界とつながることで、研究室やサークルとは違う成長の場になっている」

 −制度誕生から10年を振り返っての感想は。
 「当初はよちよち歩きのカンパニーも多かったが、最近は1年生でもどんどん手を挙げ、いろいろな分野に食らい付いている。文系や農学系といった多様な学生との交わりが、良い影響を生み出している」
 「学生たちが『自分たちでもできるんだ』と気付いてくれるのも大きな成果だ。19、20歳ぐらいでは成長の実感が得にくい。学んでいるテーマの先にあるものを鮮明に見せることで、成長のモデルを描けている」

<地域課題解決を>
 −今後の展望は。
 「高校野球で究めた人がプロを目指すのと同じように、次のフェーズには本物の起業家を育てるという目標が当然ある。無理強いするのではく、自然な流れとして挑戦する学生が出てくることを期待している」
 「地域課題を解決するような製品開発や新ビジネスの創生にも取り組みたい。地域とのつながりは岩手大にとって重要な柱でもある。トヨタ自動車東日本、デンソー岩手など岩手に拠点を置く企業と結び付けないかと考えている」
 「海外企業とタイアップするカンパニーも建てたい。企業の現地工場に学生を派遣できれば、ワールドワイドに活躍する人材の育成も現実味を帯びる」


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2018年11月30日金曜日


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