広域のニュース

「危機感持ち備えを」三重・伊勢で震災被災者ら訴え

被災体験を聞く会で、震災の教訓と訓練の重要性を訴える被災者ら=30日夜、三重県伊勢市

 防災・減災キャンペーン「いのちと地域を守る」に取り組む河北新報社は30日、中日新聞社(名古屋市)との共催で「東日本大震災を忘れない〜被災体験を聞く会」を三重県伊勢市で開催した。伊勢神宮で知られる伊勢市は南海トラフ巨大地震での津波が警戒されるエリアでもある。震災の被災者ら4人は「地域住民のみならず、観光客も含めて多くの命が助かるように備えと訓練を」と訴えた。

 冒頭、犠牲者の冥福を祈り、約250人の参加者ら全員で黙とうをささげた。
 富谷市の大学3年佐々木花菜さん(20)は「故郷の石巻市で被災し、自宅が流失した。病院に勤めていた母=当時(42)=は今も行方が分からない」と語り、「私のようにつらい思いをする人が一人でも減るように逃げる心構えを持ってほしい」と語った。
 岩手県大槌町の千代川茂さん(65)は家族で経営していたホテルが津波にのまれ、兄妹が犠牲となった。「身内は亡くなったが、従業員の定期的な訓練が生きて宿泊客43人の命は全員救えた。危機感を持って災害に備えよう」と訴えた。
 宮城県女川町で旅館を営んでいた両親を津波で亡くした佐々木里子さん(50)は「震災後、再起を期してホテルを立ち上げた」と振り返り「宿泊客を高台に誘導できるように取り組みを進めている。避難の習慣化を心掛けて」と強調した。
 東北大災害科学国際研究所の今村文彦所長は震災発生状況を解説したほか、伊勢市沿岸の特徴を踏まえ南海トラフ地震発生時のシミュレーションも紹介した。
 聞く会には三重県の鈴木英敬知事も参加し「震災を知ることで防災意識を高め、備えを確かにしていきましょう」とあいさつした。
 1日は伊勢市の景勝地「二見浦(ふたみがうら)」で防災ワークショップ「むすび塾」が開かれ、語り部3人と今村所長が模擬避難訓練と語り合いに参加する。


2018年12月01日土曜日


先頭に戻る