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<震災関連文書>保存への配慮「特に意識せず」57% 年限満了後「廃棄」33%に

 東日本大震災で被災した各県や市町村の復旧・復興に伴う公文書(震災関連文書)に関し、過半数の自治体が保存への配慮を特にしていないことが、全国の地方公文書館などでつくる団体のアンケートで明らかになった。専門家は「後世に残すべき文書が自動的に捨てられている」と危機感を抱いている。

 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会が2月、災害救助法が適用された青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉の7県と189市町村の文書担当課にアンケート用紙を送付。173自治体から回答があった。
 震災関連文書の保存年限に特別な配慮をしたか尋ねた質問に「特に意識はしていない」と答えた自治体が98(57%)に上った。「保存期間を長めに設定」は51(30%)、「その他」は22(13%)。津波被害に遭った自治体に限ると、特別な配慮をしたのは10自治体(23%)だけだった。
 保存年限の決定者について、119(69%)は「文書を作った各担当課」と答え、総務課など文書管理を主管する課の指導力が十分に及んでいないことが分かった。
 年限が過ぎた震災関連文書の取り扱い(複数回答)で「廃棄する」と答えたのは60(33%)あり、「保留または保存年限を延長」は73(40%)、「公文書館等に移管」は9(5%)、「その他」は39(22%)だった。
 震災関連文書は「罹災(りさい)証明の発行経緯」「一部損壊住宅の工事補助金」など多岐にわたり、文書の種類に応じて永年保存、または1〜30年の保存年限を定めている。年限が満了後、延長しなければ廃棄される。宮城県女川町や多賀城市は歴史的に重要な文書を残す基準を作り、選別を開始。仙台市は公文書館の設置を決めたが、多くの自治体では対応が遅れている。
 調査を担当した茨城県常陸大宮市文書館の高村恵美氏は「歴史公文書を選んで公文書館に移す体制づくりが進んでいない」と話す。
 高村氏らは11月上旬、全史料協の全国大会で調査結果を報告。来春、正式な報告書をまとめる。

<重要文書残す仕組みを/佐々木和子・神戸大特命准教授(災害資料研究)の話>
 震災関連文書は災害復興への対応を知る基礎資料。阪神大震災や新潟中越地震の被災地でも保存・公開の在り方が課題になった。後世に残すため、取りあえず廃棄を止めるべきだ。全自治体が時間をかけて選別し、重要な文書を残す仕組みを考えてほしい。


2018年12月03日月曜日


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