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東北の地銀、学生採用苦戦 経営環境悪化や中央志向の高まり影響

仙台銀行の内定式で内定通知書を受け取る大学生=10月1日、仙台市青葉区の本店

 東北の地方銀行が学生採用で苦戦し、危機感を募らせている。人口減少と低金利による経営環境の悪化に加え、業績好調な大企業が採用を増やして学生の中央志向が高まり、代表的な地方の人気就職先としての位置付けが揺らぐ。11月に集中した中間決算の記者会見で、各行トップは重要課題に人材確保を挙げた。
 「応募者が2割ほど減った。地銀の経営環境が厳しいと報道され、学生が敏感に反応している」
 七十七銀の小林英文頭取は9日の記者会見で表情を曇らせた。「売り手市場で内定辞退がある」(秋田銀の新谷明弘頭取)などと他行トップも相次いで苦しい採用状況を明かした。
 東北の13行に来春入行予定の大卒・院卒内定者は11月1日現在で計578人となり、今春の入行者(765人)と比べて24.4%減った。非公表の荘内銀(鶴岡市)、きらやか銀(山形市)の2行も「来春は今春より少ない」と答えた。
 荘内銀と北都銀(秋田市)を傘下に収めるフィデアホールディングス(仙台市)の田尾祐一社長は「いい人材を採るのが難しくなりつつある」と説明。東北銀(盛岡市)の村上尚登頭取は「入行しても3年くらいで辞める行員が多い」と定着率の低下を指摘した。
 銀行の採用活動ではメガバンクが審査部門を中心に人工知能(AI)の導入など業務効率化と人員削減の方針を掲げ、新規採用も大幅に減らしている。東北の地銀はAI導入や人員削減に踏み切っていないが、学生の銀行業界全体に対するイメージが低下した。
 さらに世界経済の好況に伴い、業績好調な大手メーカーや商社といった大企業が給与など待遇を改善して採用枠を増やし、人材確保に注力。Uターンの学生を多く採用してきた東北の地銀には大きな痛手だ。
 岩手銀の田口幸雄頭取は「東京に進学した学生がなかなか戻ってこない」と嘆き、みちのく銀(青森市)の藤沢貴之頭取も「中央にチャレンジできる場所が増えている」と話す。
 経団連は採用活動解禁日を定めた指針を2021年卒から廃止すると決定。大企業の通年採用の流れが加速し、地方の中小企業に不利との見方もある。東邦銀の北村清士頭取は「就活には一定のルールがあった方がいい」と懸念した。
 売り手市場で選ばれるため各行は職場環境の向上にも取り組む。20代の行員を中心に職場の在り方を討議するチームを結成した福島銀の加藤容啓社長は「働きがいのある環境は採用活動で好材料」と力を込める。
 低金利時代の収益源として各行が強化するコンサルティングも魅力アップに直結。北日本銀(盛岡市)の柴田克洋頭取は「行員は顧客と密に相談し、一生の付き合いをしていると伝えたい」と強調した。きらやか銀の粟野学頭取も「本業支援の喜びは必ず自分に返ってくる」と述べた。


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2018年12月04日火曜日


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