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<東北の地銀>大地震時に元本減免 特約付き融資を拡大 リスク回避へ企業が関心

特約付き融資を盛り込んだ事業継続計画について話し合う林社長(右)=福島市のタカラ印刷

 震度6強といった大規模地震が発生した場合、貸出金の元本返済を減免する特約付きの法人融資の取り扱いが東北の地銀で急拡大している。7月下旬に開始した東邦銀行の融資実行額は既に約33億円(52件)に到達。東日本大震災を踏まえた新たなリスク対策として企業の関心が高まっているようだ。

 「想定以上の反響だ」。東邦銀の営業統括課の担当者は申し込みの多さに目を見張る。約33億円の融資実行先は計47社。福島県内を中心に、岩手県や東京都など6都県に広がる。
 同行の「震災時元本免除特約付き融資」は、設定した観測地点で震度6強以上が観測された場合、元本返済が100%か50%免除される。融資期間は5年で金利は通常よりやや高い。1件当たりの融資額は3000万〜10億円で、運転資金での活用を想定する。
 東北では今年1月、岩手銀行が同様の融資を開始。東邦銀に続き、七十七銀行も10月から参入した。いずれも、融資先の企業が直接の被害を受けなくても元本を減免するのが特徴だ。
 震災ではサプライチェーン(部品の調達・供給網)が寸断され、生産停止に追い込まれて損失を被る事態が起きた。元本減免は急激な財務悪化の緩和につながり、地銀側にとっても融資先の経営リスクを抑えられる利点がある。
 「企業側は(災害後の)新たな資金調達がしやすくなる」と東邦銀の担当者。岩手銀の法人戦略部の担当者も「地域経済の存立と地銀の経営は一心同体。災害対応の商品が地域経済を守ることにつながればいい」と語る。
 企業側にとっては「災害に備える契機になる」との思惑もある。従業員45人のタカラ印刷(福島市)は事業継続計画(BCP)策定の一環で、東邦銀の特約付き融資を申し込んだ。
 林克重社長は「今年からBCPを本格的に策定する作業の中で、災害時の『保険』が必要と痛感した。特約付き融資を受けていることを対外的に発信することで、取引先などに安心をアピールできる」と話す。


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2018年12月05日水曜日


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