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<市民の力 NPO法20年>情報発信力の強化を/東北大大学院経済学研究科 西出優子教授に聞く

西出優子(にしで・ゆうこ) 1969年沖縄県生まれ。大阪大大学院国際公共政策研究科博士課程修了。2007年東北大大学院経済学研究科准教授、17年から現職。仙台市協働まちづくり推進委員会委員、宮城県民間非営利活動促進委員会委員などを務める。48歳。

 特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されて20年がたった。民間の非営利団体に法人格を与え、市民活動の活性化を目指す法律は、社会にどのような変化をもたらしたのか。成果と課題を東北大大学院経済学研究科の西出優子教授(非営利組織論)に聞いた。
(聞き手は生活文化部・長門紀穂子)

 −市民活動の変遷をどう見るか。
 「一昔前までは『ちょっと変わった人たちが何かやっている』というのが市民活動の一般的なイメージだった。今はまちづくりや災害救援など活動分野が多岐にわたり、地域にさまざまなNPOがある。社会の課題に気付けば誰でも組織を立ち上げ、活躍できる時代になった」
 「NPOは行政や企業がカバーできない問題に柔軟に対応してきた。例えば自殺防止に取り組む場合、福祉や教育など分野をまたいで解決策を考え、行動できる。縦割りの行政にはできないアプローチだ」

 −東日本大震災後、多くのNPOが被災地で復興支援を担った。
 「一過性でなく、地域で息の長い活動を展開している。支援を受けるだけでなく、NPOに参加して自分で法人を設立した被災者もいる。企業や行政と同様にNPOが復興の力になると社会に認知された」
 「震災後、子どもの貧困や過疎地の移動手段の問題がメディアで取り上げられるようになった。NPOが被災地に入り、地域に潜んでいた悩みを『見える化』したのがきっかけとされる。情報発信や支援を通じ、地域の課題を社会に投げ掛けた意義は大きい」

 −2021年に復興庁が解散し、復興交付金がなくなる見通しだ。
 「震災後に多くの資金が被災地に流れ、事業を拡大した団体も多い。復興バブルはいずれ終わる。規模の縮小や同じ事業に取り組むNPO同士の連携など、持続可能性を探る時期に来ている」
 「組織基盤の強化も急務だ。中長期的視野で人材の獲得・育成に取り組み、寄付や自主事業を進めるなど資金源を多様化しなければいけない」

 −市民活動をさらに広げるには。
 「市民がボランティアや寄付をする際、どの団体を選べばいいか分かりにくい。NPOは事業の成果や社会的な意義を積極的に発信し、自分たちが何者なのかを知ってもらう必要がある。ウェブを使った情報公開が苦手な団体も少なくない。広報が得意なNPOや企業がサポートするのも一つの解決法だ」
 「NPO法人をはじめ、非営利型の一般社団法人やソーシャルビジネスを手掛ける組織など、人々が多様な形態で活動するのが理想。新しい価値観やアイデアを生み出すため、イノベーションの場やサービス基盤(プラットフォーム)の整備も求められる」


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2018年12月06日木曜日


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