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<ベガルタ・天皇杯準V>再び頂点へ ベンチで見届けた梁勇基、サッカーへの情熱燃やし続ける

試合終了後、関口訓充選手(右)を慰める梁勇基選手=埼玉スタジアム

 その瞬間、仙台のMF梁勇基選手はピッチサイドで静かに腰を下ろした。目の前には、共に目指した日本一の夢が消えた仲間が悔しがる姿があった。「サポーターのためにも是が非でも勝ちたい試合だった。座ったのは、悔しさと力が抜けた両方ですね」。表情に落胆がにじんだ。
 仙台一筋で15年目の36歳。浦和との決勝でベンチ入りした18人の選手で一番長くチームに在籍する。前半13分に先制を許し、攻め切れない苦しい展開を横目で見ながら、黙々と体を動かして準備に努めた。が、最後まで出番は来なかった。
 「優勝した相手に目の前でトロフィーを掲げられる悔しさは必ずばねになると思うし、しなければならない。決勝の舞台を経験した若い選手たちは、よりチームの核として成長してくれるはず」。力になれなかった無念さは胸にしまい、最年長として後輩たちが今後の糧にすることを願った。
 大阪府出身。阪南大から2004年に当時J2だった仙台に加入して以降、チームと共に歩み続けた。08年は磐田との入れ替え戦で敗れてJ1昇格に失敗。翌09年は悔しさをばねにJ2優勝して7季ぶりのJ1昇格を決め、天皇杯も4強入り。J1復帰初年の10年は2桁の11得点と活躍。東日本大震災後は被災地のクラブとして戦う使命を背負い、12年には過去最高のリーグ戦2位と躍進した。
 しかし、今季は若手の台頭もあってリーグ戦出場は過去最少の14試合にとどまった。それでも、練習場には以前と変わらず意欲的に鍛え抜く姿があった。「しっかり練習することで『自分はまだやれる』と感触を持てた」。真摯(しんし)な姿勢は渡辺晋監督が「リスペクト(尊敬)している」と語るほどだった。
 慣れ親しんだチームを日本一に導く夢はかなわなかった。「まだまだサッカーを続けたい。やるからには頂点を目指さないといけない」。年齢を重ねながらも、サッカーへの情熱は衰えることはない。(スポーツ部・原口靖志)


2018年12月11日火曜日


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