岩手のニュース

岩手県の携帯電話カバー率最下位の99.74% 災害時に圏外? 募る不安

周囲に住宅が点在するが、携帯電話の表示は「圏外」に…=盛岡市藪川大の平

 平成の時代の歩みとともに発展を遂げ、普及が進んだ携帯電話。ところが岩手県は今なお1250世帯3370人が電波の届かない不感地域で暮らし、携帯電話の人口カバー率は99.74%と全国ワーストだ。岩手に人口カバー率100%の日は訪れるのか。調べてみた。
(盛岡総局・江川史織)

<22市町に点在>
 「取引先からも不便だとの声がある。早く携帯電話が使えるようになってほしい」と漏らすのは、不感地帯で暮らしている盛岡市玉山川久保の金属加工業石橋茂さん(62)。所有する携帯電話は出先でしか使えないという。
 確かに、石橋さん宅周辺で携帯電話をかざすと「圏外」の表示が出る。
 東北6県の携帯電話人口カバー率は表の通り。岩手は全33市町村のうち22市町に不感地域が点在している。
 県情報政策課の内城仁地域情報化担当課長は「岩手は山間部が多く、電波が遮断されやすい。過疎地では基地局を多く設置する必要があるが、携帯電話会社にとって採算性がネックになっている」と説明する。

<整備に前向き>
 半径2〜4キロをカバーする一般的な基地局(アンテナ)の設置費用は3000万〜4000万円。通信各社による自己整備が原則だが、過疎地や離島は国と地元自治体が費用負担する。
 通信会社は複数の基地局を束ねる交換局間の伝送路使用料を毎月数万−数十万円、有線の電話会社に支払わなければならない。通信速度を高める高度化施設の設置費用も通信会社の負担だ。
 大手通信会社の盛岡支店に整備見通しを聞くと「国の補助制度を利用しながら整備していきたい」と前向きな姿勢を示しつつ「主には交通量が多い主要道路沿いなど需要があるところで…」と慎重に予防線を張った。
 生活圏が不感地域であることで、最も心配なのが災害発生時だろう。石橋さんも「緊急時には家に戻って固定電話を使わなければならない」と不安を語る。

<自治体主導で>
 岩手県立大の佐々木淳教授(通信・ネットワーク工学)は「不感地域は災害時に道路が遮断されると連絡が取れなくなり、集落が孤立する可能性がある」と指摘。「観光客や出張者の安全が確保できない事態も考えられる」と言う。
 その上で「半径1キロ程度をカバーする小型基地局を設置するなどコスト削減を図りながら、自治体主導で不感地域を解消していく必要がある」と助言する。
 県は現在策定中の次期総合計画で「スマートフォンの人口普及率」を現状(17年)の51.5%から22年度に78.1%にする数値目標を提示。「スマホ普及が県民の幸福度を高める」と主張している。
 スマホ普及率と幸福度の相関関係は不明だが、防災力を高めるためにも携帯電話の人口カバー率向上は必要だろう。


関連ページ: 岩手 社会

2018年12月12日水曜日


先頭に戻る