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<入管法改正>東北の技能実習生、5年で倍増 人口減や高齢化で需要高まる

 在留資格新設で外国人労働者受け入れを拡大する改正入管難民法が成立し、来年4月に施行される。国会審議で技能実習生が安価な労働力として酷使される実態が問題視されたが、対策は先送りされた。人口減少、高齢化が著しい東北地方の実習生数はここ5年で倍増した。労働力不足で受け入れ需要が高まる半面、実習生の就労環境の厳しさは深刻度を増している。(報道部・横山勲)

 東北6県の実習生数の推移はグラフの通り。6月末現在で計約1万4000人に上り、2013年の2倍以上に増えた。特に東日本大震災後、岩手、宮城、福島3県の増加が際立つ。全国の総数は6月末で約28万6000人。
 法務省入国管理局によると、17年の全国の入管難民法違反者約1万3700人のうち不法残留は8割、不法就労は6割を超える。背景の一部には実習生が過酷な就労に耐えかねて職場から逃げ、新たな仕事を求めて全国を流浪する実態があるという。
 技能実習生として16年11月に来日したベトナム人男性(26)は今年9月、不法残留の疑いで宮城県警に逮捕され、11月27日に仙台地裁で執行猶予付きの有罪判決を受けた。
 男性は来日当初、埼玉県の建設会社で現場の清掃に従事した。月約5万円の薄給や清掃薬品による体調不良を訴えたが聞き入れられず、職場を逃げ出した。
 会員制交流サイト(SNS)で知り合ったベトナム人の紹介で派遣作業員となり、仙台市内の養鶏場で働き始めた。勤め先にはベトナム人が用意した偽造在留カードを提出した。
 公判で男性は「転職先を探す途中で在留期限が過ぎたが誰に相談すればいいか分からず、信頼できる人もいない。違法と認識していたものの、母国の妹の学費を何としても稼ぎたかった。来日に要した借金も残っていた」と説明した。
 青森市で10月にあった日弁連人権擁護大会で、外国人労働者問題の分科会委員を務めた大林弘典弁護士(仙台弁護士会)は「実習生の就労環境は閉鎖的。情報源がSNSに限られ、職場で問題が起きても適切な相談先にたどり着けない」と指摘した。
 また、就労環境の整備は雇用主の善意頼みの現状にあるとして「入国管理や在留管理の延長ではなく、実習生の生活や人権を保障する体制を国の責任で確立すべきだ」と訴えた。


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2018年12月13日木曜日


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