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<ベガルタ・2018検証>(上)成果と課題/若手躍動攻撃は低調

天皇杯準決勝で山形を3−2で破り、初の決勝進出を決めて喜び合う仙台イレブン=5日、ユアスタ仙台

 J1仙台には悔しさが残る1年だった。リーグ戦は渡辺監督が率いて5季目で最高の11位も終盤に失速して目標の5位以内に届かず、天皇杯全日本選手権では初の決勝進出を果たしたものの悲願のタイトルを逃した。「真」「進」「芯」…。スローガンの「興(おこ)せ、『シン』の力を」に込めたチームの成長はまだ道半ば。今季の戦いを振り返る。(佐藤夏樹、原口靖志)

<天皇杯準V糧に>
 9日、寒空の埼玉スタジアム(さいたま市)のピッチに選手たちが立ち尽くす。J1浦和との初の天皇杯決勝で散った。涙で目が腫れるほどの悔しさ。頂点に迫った者のみが得られる、来季への糧だった。
 若手の活躍があった。大卒新人のFWジャーメインは準決勝まで3戦連続得点。21歳のMF椎橋はシーズン終盤にボランチの定位置をつかみ、J2山形との準決勝で攻守に躍動した。U−21(21歳以下)日本代表にも選出された椎橋は「世界と戦い、個の力の大切さを感じた。プレーの幅が広がり、プラスの1年だった」と胸を張る。
 ただ、天皇杯準優勝という成果だけでバラ色の展望を描くのは早計だ。リーグ戦は5季連続の2桁順位。渡辺監督は「危機感しかない。課題が山積している」と吐露する。
 攻撃的なスタイルを掲げながら、実際は攻撃の迫力に欠けた。天皇杯決勝では浦和の守り方が整理されていなかった立ち上がりや、後半にプレスの強度が落ちた時間に攻めた。が、クロスはピンポイントで届かず、有効なアイデアもなかった。好機が90分で2度ほどでは勝機は薄い。相手守備を崩す最終局面の質は最後まで改善されなかった。

<クロス工夫必要>
 リーグ戦の総得点は昨季と同じ44の11位。そのうちクロスからの得点が18、セットプレーとPKからが計13を占める。中央を攻略して奪ったのは3点だけ。スルーパスが少なく、ミドルシュートもない。MF野津田は「もっとボールを動かし、中央で崩したかったのが本音」と反省を口にする。
 中央をおとりに使うなら、ペナルティーエリア内の奥まで進入し、近距離でマイナスのクロスを送るなどの工夫がもっと必要だ。8月までにこのタイプのクロスから4点を挙げたが、縦への進路を優先的に消されると、単純なクロスは脅威にならなかった。
 仙台には1対1で個の優位性を計算できるポジションがない。今季覚醒し、チーム最多の11ゴールを挙げたFW西村は9月にCSKAモスクワ(ロシア)に移籍。天皇杯で絶好調だったジャーメインも、決勝は日本代表DFの槙野に歯が立たなかった。
 若手の成長が光った1年だったが、さらに上を目指すには十分ではない。「最後のクオリティーが足りない」。苦杯をなめた天皇杯決勝の後、選手たちが口々に語った。今季何度も聞いた言葉。来季は克服できるか。


2018年12月14日金曜日


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