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<ベガルタ・2018検証>(中)パサー不在/戦術変更浸透ならず

第27節長崎戦の終了間際、相手ゴール前でシュートを阻まれて悔しがる仙台・板倉(6)

<縦パスが出ない>
 攻撃が途切れ、守勢に回ることの繰り返しだった。11月4日の第31節札幌戦(札幌ドーム)。ボールを奪って縦に蹴るが、精度が低くてつながらない。0−1で敗れ、5戦連続白星なしで目標の5位入りが事実上なくなった。
 「ボールを取った後、一気に攻めるのか、自分たちの時間を増やすのかというところ(がはっきりしない)」とMF矢島。選手たちに戸惑いが見えた。
 猛暑の8月を3勝3敗で何とか乗り切り、迎えた9月。渡辺監督は常に縦への攻めを狙うよう求めた。それまでも同じ意図はあったが、よりボール保持を軸にしていた。「ボールを持とうと思えば持てるレベルになった。次の段階に進む」はずだった。
 しかし、ふたを開けると「ここまで狙いが薄れるのかと思った」と振り返るほど縦パスが出ない。戦術の転換の副作用で一度崩れたバランスを取り戻すのは難しい。前半戦のような保持率による優位性も薄れ、どっちつかずになった。FW石原は「考えのずれや迷いがある。チームの強みを出せなかった」と悔やむ。
 ボール保持と縦に速い攻めは、2連覇を飾った川崎や欧州の強豪なら両立させている。相手が前掛かりなら背後へ、引いてくるならじっくりつなぐ。「状況判断が必要だった」とMF奥埜。遅攻と速攻の使い分けを統一できていなかった。

<最下位に敗れる>
 要因の一つにパサーの不在があった。相手を食い付かせ、空いたスペースに味方が移動する形の連続で前進する攻撃が仙台の特徴だ。逆に相手が誘いに乗らない時、フリーになった優位性を生かして前へ高精度のパスを出せる選手は最後までいなかった。
 顕著だったのは第27節長崎戦(9月22日・トランスコスモススタジアム)。ボランチのMF富田がDFラインに下がってフリーでボールを持ったが、効果的なパスが出ずに攻めあぐねた。結局、最下位相手に0−1で苦杯を喫した。
 26試合に先発した富田は守備の職人。J2岐阜から加入したMF庄司はJ1のレベルに適応できず、7月にJ2京都に期限付き移籍した。6月に獲得した矢島は8月に負傷離脱。終盤になってMF椎橋が成長の跡を見せた。
 パスの中継点となるボランチに供給力がないと苦しい。「限られた予算で補強したいし、今いる選手を伸ばす作業もしなければならない」と指揮官。来季へ戦力の底上げを見据える。


2018年12月15日土曜日


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