宮城のニュース

<まちかどエッセー・米田公男>クリスマスカード

 もうすぐクリスマス。幼少時のウキウキ感や青年期の高揚感をこの年齢で感じることはありませんが、代わりに多くの思い出がクリスマスの数日にあります。
 心に残る思い出の一つは、東日本大震災が東北の太平洋沿岸部から多くの魂を連れて行った年の瀬の出来事です。クリスマスの数日前、勉強会の仲間から「お願いしたいことがあるんです」と連絡が入りました。宮城県南三陸町の小学校にクリスマスカードの配達をしてほしいというのです。
 中央大・田中拓男教授の「被災地の子どもたちを応援したい、幼い心のケアをしたい」という思いを世界に発信した「被災地に子どもたちにクリスマスカードを」という呼び掛けに応えて、世界の国々から数多くの善意が東北の地に届きました。英国王室、チベットのダライラマ、オバマ米大統領のカードもありました。その大切なクリスマスカードを被災地の小学生に手渡したいので、手伝ってほしいとのことでした。
 「世界中の人々が被災地の子どもたちを応援している」。私は雪の降る三陸自動車道を志津川に向けて車を走らせました。被災前5校あった南三陸町の小学校は町内3カ所、登米市1カ所で授業をしていました。
 クリスマスカードを入れた紙袋を手にし、赤い三角帽子をかぶった奇妙なおじさんを見た先生は「変な人が来たな」という顔をしていましたが、お話しするうちに震災当時の事を少しずつ口に出し始めました。
 中でも心に残っているのは海に面した小学校の女性校長のお話です。放課後子どもたちと校庭で遊んでいると立っていられないほどの大きな地震。「絶対に津波が来る」と校長先生は確信しました。子どもたち全員を連れて裏山に登った直後に、3階建て校舎が津波に飲み込まれたそうです。
 あの日からもうすぐ8年の歳月が過ぎようとしています。復興は地域によって差はありますが、確実に進んでいます。田中先生は「今度は被災地に出向いて、自分の目で見た復興の状況を世界に発信する活動を始めなくてはいけないですね」と話されていました。
(石材店経営)


2018年12月17日月曜日


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