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<災害援護資金>連絡つかない滞納者続出 被災者と市町村、膨らむリスク

災害援護資金の返済について被災者(左)の相談に応じる仙台弁護士会の弁護士

 東日本大震災後、被災者に貸し付けられた災害援護資金の返済を巡り、市町村が対応に苦慮している。滞納者と連絡がつかないケースが続出し、被災者が支払う延滞金と市町村の管理コストが同時に膨らむリスクが進行しているからだ。生活状況に応じ返済方法は変更でき、市町村は早期の連絡を呼び掛ける。(石巻総局・氏家清志)

 宮城県石巻市で8日、仙台弁護士会による災害援護資金に関する相談会が開かれた。上限の350万円を借りた飲食店経営の70代男性は、津波で浸水した店の再開費などに充てるため2011年8月に制度を利用した。
 復興事業の影響で2、3年は繁盛したが今は売り上げが半分に。体調も思わしくない。6年の猶予を経て昨年8月に返済期日が来た。1年以上、滞納が続く。
 対応した弁護士は、男性の「少額ずつでも返したい」という意思を確認。市に連絡し、返済額を月4万4000円から1万円に変更できないかどうか相談するようアドバイスした。
 石巻市の災害援護資金の貸付件数は11月末現在、3055件で総額約64億1200万円。宮城県内では仙台市に次いで多い。返済期日を迎えた1424人のうち、3割に当たる444人が滞納。3カ月以上連絡がつかない人は92人に上る。
 市に連絡をしないまま滞納すると延滞金が生じ、年10.75%の利息が付く。正当な理由があり、猶予手続きをすれば延滞金の支払いは回避でき、経済力に見合った少額の返済にも応じられる。
 一方、市は返済が放置されると、被災者への連絡や法的措置への対応を含め債権管理の費用がかかる。現状のまま国の償還期限まで回収できなければ、市が肩代わりすることになる。
 石巻市の担当者は「借り入れから7年が過ぎても、生活再建ができていない被災者が一定数いる。遠慮せず『返済できない』と言ってほしい」と話す。
 発生から23年がたつ阪神大震災で被災した神戸市の場合、貸付額約777億円に対し、滞納額は3日現在、約31億円。債権管理に伴う行政コストは43億円かかっている。国は償還期限を4度延長したが、この先、延長が認められなければ市が肩代わりする。
 仙台弁護士会災害復興支援特別委員会の宇都彰浩委員長は「収入が低い被災者向けに貸し付けられたのに、猶予期間を過ぎてから5〜7年で返済を終えるのは非常に厳しい」と指摘する。
 同会は今後、相談会などを通じて実情を把握し、返済期限延長や自治体が負う債権管理費用への補助などを国に提言する方針。

[災害援護資金]自宅が半壊以上の被害を受けたり世帯主がけがをしたりした世帯に、生活資金として350万円を上限に市町村が貸し付ける制度。所得制限は上限のみ。返済期間は13年で、うち猶予期間が6〜8年ある。返済は原則年1回か半年に1回の分割。原資は国が3分の2、都道府県が3分の1を負担する。返済金は自治体が借り主からの納付を受け、県を経て国に戻す。宮城県内の実績は11月末現在、約2万4000件、約407億円。阪神大震災があった兵庫県内では約5万6000件、約1308億円が貸し付けられた。


2018年12月18日火曜日


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