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<広まる公営合葬墓>後継者問題 解決策に

生前の母を懐かしむ瓜田さん。写真の後ろには、遺骨が置かれている

 遺骨を他人と一緒に埋葬する「合葬墓」に取り組む自治体が東北で増えている。費用が抑えられ、自治体が管理をする安心感が市民の需要につながっている。「墓じまい」や後継者の不在など墓に関する問題の解決につながる一方、想定以上の利用希望者が殺到した自治体もあり、手探りの運用が続いている。弘前、秋田、青森の3市から、公営合葬墓の現状と課題を探った。
(青森総局・丹野大)

◎(上)弘前市 母の居場所やっと見つかる

 「母の居場所がみつかってホッとした。市が運営するのであれば、ずっと管理してくれるので安心だ」
 弘前市の飲食店店主、瓜田充子さん(59)は、8月に募集が始まった市営合葬墓の完成を心待ちにしていた。2008年に亡くなり、家の仏壇に数年前から置かれている母の水木弘子さん=当時(74)=の遺骨をどうするか、困っていたからだ。現在は埋葬の手続きを進めている。
 瓜田さんが母の遺骨を手元に置くようになった理由は墓じまいだ。母の遺骨は、離婚していたため、当初は実家の墓に収められた。
 だが「墓守」をしていた90歳近い親戚の男性が、息子のいる関西に移住することになり、墓じまいを決めた。改葬先も同様に関西なので、瓜田さんは母の遺骨を引き取った。
 瓜田さん夫婦には子どもがいないため、新たに墓を建てても後継者がいない。夫は次男。十数年前から、墓は悩みの種だったが、遺骨を引き取ってからは差し迫った問題に変わった。
 厚生労働省の統計によると、改葬は全国で増加傾向にある。07年度の約7万4000件に対し、17年度は約10万4500件だった。
 弘前市が11月末までに合葬墓への埋葬を許可した69件中、改葬は26件だった。青森県内で活動する終活カウンセラーの村井麻矢さん(46)は「後継者が県外に出るため、墓の維持が難しくなっている。墓じまいで相談に来る人は多い」と語る。
 瓜田さんは来春、母の遺骨を納める。「寂しくなると思うが、今は安心感の方が大きい」と打ち明ける。いずれは自分たちも同じ墓に入るつもりだ。


[合葬墓]他人と一緒に遺骨を埋葬し、墓石を共有する方式の墓。宗教法人などによる民営、自治体による公営がある。一般的に、後継者を必要としない。1990年代から全国各地に広まっている。東北では郡山、秋田の両市などで利用が始まった。計画する自治体は増えている。


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2018年12月18日火曜日


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