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<18みやぎ回顧>(2)地下鉄トラブル(仙台)事故対応の未熟さ露呈

全線停止トラブルから一夜明け、正常ダイヤに戻った南北線。事故の経験を安全運行に生かすことが求められる=4月19日、仙台市地下鉄仙台駅

 東日本大震災から8年目となった2018年、宮城県内では行政に対する信頼をゆるがせるミスやトラブルが相次ぎ、尊い人命が失われる事件や事故も後を絶たなかった。紙面を飾った主な出来事を、最前線で取材に当たった記者が振り返る。

 「地下鉄でケーブル火災だって」。一報を聞き、ただならぬ事態を予感した。
 4月18日、仙台市地下鉄南北線が全区間で約6時間にわたり、運転できなくなった。泉区の八乙女−黒松間で漏電が発生。送電ケーブルが焼け、架線への電力供給がストップした。
 発生は午後5時16分。帰宅ラッシュを直撃し、駅は足止めされた利用客であふれた。振り替えバスやタクシーの乗り場は長蛇の列ができ、待ちくたびれて歩いて帰る人も続出した。
 事故は1987年の南北線開業以来、最大の運行トラブルとなった。その割に市内の混乱は大きくなかったと感じる。「東日本大震災の直後を思い出した」。震災を経験した利用客の冷静な対応に助けられた。
 漏電を引き起こした原因は意外なものだった。
 開業から31年が経過した南北線。鉄道設備の耐用年数は一般的に40年程度と言われ、送電ケーブルの老朽化が真っ先に疑われた。
 ところが、市交通局の事故調査委員会は「線路脇の側溝が送電ケーブルを押しつぶした」と結論付けた。メーカーが送電ケーブルを調べた結果、経年劣化は確認されなかったという。
 事故現場は、市地下鉄では数少ない盛り土をして線路を敷いた場所。送電ケーブルは線路や側溝の下の地中を通す構造だった。
 事故調によると、震災の強い揺れや雨水流入で地盤が下がり、側溝の下に隙間が生まれた。やがて側溝が重みに耐えかねて沈下し、ケーブルが押しつぶされ、漏電が起きたとみられる。
 市地下鉄は首都圏などの鉄道より運行トラブルが格段に少ない。利用客には喜ばしいが、市交通局にとっては非常時の経験不足につながっているとも言える。
 漏電事故も、想定外に近い状態だった。復旧を早める技術的知見の乏しさ、事故対応マニュアルの未整備などが露呈し、利用客への対応にも課題を残した。
 「事故の少なさが、逆にリスクを高めている」。市交通局幹部の言葉が重い。
 南北線では11月にも自動運転ができなくなる障害が発生した。不幸にも起きた運行トラブルから多くを学び取り、安全性の向上につなげられるかどうか。市交通局の覚悟が問われる。(報道部・長谷美龍蔵)

[メモ]4月18日午後5時16分、仙台市地下鉄南北線の八乙女−黒松間で、地中の送電ケーブルが焼けて漏電し、全区間の運転が約6時間ストップ。午後11時半に運転を再開した。104本が運休、最大6時間15分の遅れが生じ、約6万9500人に影響した。


関連ページ: 宮城 社会

2018年12月19日水曜日


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