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津波で大槌町職員の娘失った夫妻、真相解明へ一歩 きょう町長と面会、多くの遺族と連携訴え

被災体験を語り合うサロンに参加する人志さん(左)と吉子さん=今年7月、大槌町

 東日本大震災の津波で旧役場庁舎にとどまるなどして多くの職員が犠牲になった岩手県大槌町で19日、職員遺族が平野公三町長と面会し、今後実施する死亡状況の調査について説明を受けることになった。いまだ肉親の最期の様子を知らされない職員遺族が「町は真実に向き合ってほしい」と訴えてきた。

 面会するのは、亡くなった町職員小笠原裕香(ゆか)さん=当時(26)=の両親で、釜石市在住の人志さん(66)、吉子さん(66)ら。
 裕香さんは高齢者の避難を助けようとして津波にのまれたとみられる。2人は震災後、正式な説明がなかった町の対応に疑問を抱き続けてきた。
 その間、平野町長は旧庁舎の解体方針を表明。震災の風化を助長すると思ったが、人志さんは「町民ではないので口を出せない。裕香の死の真相も知りたいが、復興で頑張っている役場の邪魔はできない」と口をつぐんできた。
 しかし裕香さんの命日の今年3月11日、旧庁舎に向かって手を合わせた吉子さんは「裕香から『このままで大槌の子どもを守れるの』と聞かれた気がした」。
 被災体験を語り合うサロンに参加し、初めて他の職員遺族も同じ思いを抱いていると知った。小さな町では人目が気になって職員遺族は何も言えない。町民ではない自分たちが町を問いただすしかない。そう考えるようになった。
 町では震災対応の検証で聞き取った職員ら80人分の資料の廃棄も発覚。今月15日には声を掛け合って集まった職員遺族7組が、肉親の死への疑問や町への不信感を語り合った。
 平野町長は犠牲になった職員全員の死亡状況について調査する方針を表明したが、人志さんは「再び聞き取り調査をして、当時を知る職員につらい思いをさせるのは切ない」と語る。
 それでも「肉親の最期を確かめなければ前に進めない」と訴え、より多くの職員遺族と連携を図りたいとしている。連絡先は小笠原さん0193(28)1666。


2018年12月19日水曜日


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