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<始動 秋田1農協構想>(上)縮む農業県/生産者減 募る危機感

秋田県農協大会で、県1農協化の方針を拍手で承認する出席者=11月28日、秋田市

 秋田県内の全14農協を2024年度をめどに合併して1農協を目指す方針が、11月の県農協大会で決まった。正組合員9万人規模の全国トップ級の巨大組織を狙う。1県1農協は1999年以降に奈良、島根、香川、沖縄の各県で誕生し、その後も西日本で同様の動きが相次ぐ。東日本の先陣を切って秋田で始動した1農協化構想は、経営基盤の強化を主眼としながらも実現へのハードルは高い。(秋田総局・渡辺晋輔)

 「県内農協の事業総利益はここ9年で60億円減った」「60歳以上の正組合員の比率は63%。うち80歳以上が14%」
 11月28日の県農協大会の議案書には縮みゆく農業県秋田の姿が列挙されていた。
 鹿角市の農家男性(63)は「営農継続には農協の経営基盤がしっかりしていないと困る。合併は仕方がない」とため息交じりに語った。

<試算で7万人台>
 高齢化が進む中、組合員の減少は全国共通の悩みで、とりわけ秋田は深刻だ。県人口は2017年4月に100万を割り、高齢化率は35.6%(17年10月)と全国で最も高い。
 県農協中央会によると、17年度の組合員から農協への出資金は423億円。08年度に比べ38億円減った。減少する事業総利益は16年度末で274億円。試算では県内の正組合員は現在の9万人台から27年度には7万人台に落ち込む。
 急速な環境変化を踏まえ、あきた北農協(大館市)の虻川和義組合長は「将来を考えれば1農協化はベターな選択だ」との考えを示す。「合併は個々の農協の弱点を強化するが、支店や施設を統廃合することでもある」。組合員へのマイナス面を指摘しながらも、サービス維持のために合併の方向性を支持するという。
 農業後継者に恵まれ、耕作放棄地もなく水田面積が9000ヘクタールと県内の約1割を占める大潟村でも危機感がある。1970年に設立された村農協は正組合員1000人と県内最少だが、合併せずに自立した経営を続けてきた。

<安定経営に暗雲>
 しかし、改正農協法施行に伴い来年から公認会計士監査に切り替わることで負担が増す。村農協は加工用タマネギの産地化を目指しており、投資が不可欠だ。
 小林肇組合長は「農協として毎年利益を出していけるのか。組合員には、合併してもしなくても大変になることを理解してもらい議論していく」と話す。
 東北では他にも合併構想はあるが、思うように進まない。宮城県農協中央会は県内14農協を三つに再編する青写真を描いた。合併推進協議会にこぎ着けたのは県北部のみ。8農協による協議会は古川(大崎市)など3農協が相次いで離脱し、来年4月に予定した合併期日を7月に延期した。
 「農村の生産者が減り続けているのが1農協化の検討のスタート。秋田の農業を次代にどうつなぐかだ」。秋田県農協中央会の船木耕太郎会長は強調する。
 秋田の農業生産額は東北で最も少ない。16年は1745億円で、上位の青森(3221億円)、岩手(2609億円)との差は歴然だ。同じ米産地で5位の宮城を見ても、秋田より98億円多い。
 「東北最下位を何とか脱却したい。そのためにも農協の経営安定が必要だ」。船木会長はオール秋田で取り組む必要性を説く。


関連ページ: 秋田 経済

2018年12月19日水曜日


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