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<広まる公営合葬墓>家族変化 新たな選択

申し込みが殺到した秋田市の合葬墓

 遺骨を他人と一緒に埋葬する「合葬墓」に取り組む自治体が東北で増えている。費用が抑えられ、自治体が管理をする安心感が市民の需要につながっている。「墓じまい」や後継者の不在など墓に関する問題の解決につながる一方、想定以上の利用希望者が殺到した自治体もあり、手探りの運用が続いている。弘前、秋田、青森の3市から、公営合葬墓の現状と課題を探った。
(青森総局・丹野大)

◎(中)秋田市 生前予約に市民殺到

 本年度に利用が始まった秋田市の合葬墓には、申し込みが殺到した。あっという間に上限に達し、新たな合葬墓を増設する事態にまで発展した。希望者の大半は「生前予約」。関係者は市民の墓に対する考え方の変化を感じている。
 秋田市議会は9月定例会で、既存のものと同程度の合葬墓を新設する補正予算案を可決した。市は本年度、合葬墓の利用を募り始めたばかり。市生活総務課の斉藤聡美課長は「想定以上の申し込みだった」と一連の「騒動」を振り返る。
 市は当初、合葬墓の申し込みは年150体と想定し、10年分の1500体を全体の上限に設定した。
 4月2日から先着順で、受け付けを始めたが、開始後約2時間で、約980体の申し込みがあり、中断せざるを得なくなった。
 2回目の受付開始日を5月22日に決めたところ、前日夕方から市民が市役所に並び始めた。22日午前5時過ぎに、上限の1500体へ達したため、募集を打ち切った。申し込みの約8割は生前予約で、改葬は約220体だったという。
 合葬墓を持つ市内の寺の住職、清沢義彰さん(70)は「墓をどうするかはこれまで、残された人に任されていたが、最近は『自分のことは自分で』という人が増えている。周囲に負担をかけたくないのだろう」と心情を推し量る。
 市が2015年に40〜70代の市民1000人に実施したアンケートによると、67%が市営合葬墓は必要だと回答し、30%が取得を考えていると答えた。
 取得したい理由は「家族はいるがお墓を継ぐ人がいない」が37%、「家族に迷惑をかけたくない」が33%、「個人で墓を持つよりも費用がかからない」が16%だったという。
 斉藤課長は「核家族化や高齢化社会の進展など墓を取り巻く環境の変化が背景にあると思う。市の合葬墓には、墓じまいをせざるを得ない市民に、一つの選択肢を提供する役割がある」と語った。


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2018年12月19日水曜日


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