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<18みやぎ回顧>(3)だて正夢デビュー ブランド確立の道険しく

本格販売が始まっただて正夢の売り場コーナー。販売戦略も手探りが続く

 東日本大震災から8年目となった2018年、宮城県内では行政に対する信頼をゆるがせるミスやトラブルが相次ぎ、尊い人命が失われる事件や事故も後を絶たなかった。紙面を飾った主な出来事を、最前線で取材に当たった記者が振り返る。

 トップの手応えとは裏腹に、生産と販売の現場は試行錯誤が続いた。
 ひとめぼれ以来となる県産米の大型品種「だて正夢」の本格販売が10月に始まった。村井嘉浩知事は今月17日の定例記者会見で「想定より非常に評判が良い」と胸を張ってみせた。
 「初陣」に立ちはだかったのは夏の猛暑だった。
 県などが10日に開いた2018年産水稲の作柄検討会。だて正夢の10アール当たり収量は、プレデビューの17年産をわずかに下回るとの調査結果が報告された。
 6月まで順調だった生育が、高温が続いた7月以降停滞した。「栄養が持たなかった」(県の担当者)のが理由という。
 県北の生産者は「天候に加え、(成長期に肥料を分け与える)追肥や刈り取りの時期などを見極める難しさもあり、手探りだった」と振り返った。
 それでも1等米比率(10月末現在)は県全体の92.9%を大きく上回る97.9%に達した。高品質を堅持した生産現場の奮闘には頭が下がる思いしかない。
 一方、県の販売戦略には疑問も残った。県が初めて打って出た高価格帯市場には、他産地のライバルがひしめく。県は「20、30代の若い女性」(農産環境課)をターゲットに定め、首都圏へのPRに注力した。
 動画投稿サイト「ユーチューブ」の活用は新たな試みの一つだった。若年層に人気の女性大食いユーチューバーがだて正夢約3キロを完食する内容だ。
 「たくさん食べてほしいとの思いを込めた」(村井知事)という動画は再生回数67万回を超えるが、開発者や生産者に対しての敬意は感じられなかった。
 「特別な日に食べてほしい」「他のコメに比べそんなに高くない」など知事発言も揺らいだ。プレミアム感を出しながら、消費者の手に取ってもらうことの難しさ。ブランド確立への道のりは平たんではない。
 県は19年産を18年産の倍の生産量にする見込みだ。「食卓の天下取り」を掲げ、米どころ復権を託されただて正夢。夢物語に終わらぬよう、販売戦略を見詰め直してはどうだろうか。
(報道部・馬場崇)

[メモ]だて正夢は県古川農業試験場(大崎市)が開発。栽培管理を徹底するため県は生産者の登録制を導入。2018年産は生産者384人が301ヘクタールで栽培し、生産量は1500トン。19年産はそれぞれ作付面積600ヘクタール、生産量3000トンに拡大する。


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2018年12月20日木曜日


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