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<週刊せんだい>仙台圏のキリシタン物語(3)隠れ信仰の存在信じて 学芸員や牧師ら研究会 遺物や墓地など調査

自宅で、キリシタンの遺物とされる厨子(ずし)や鏡などを広げる高橋陽子さんと邦明さん。調査が一段落したら、「広く一般に公開されるように」と、仙台白百合女子大カトリック研究所に寄贈するつもりだ
仙台の暮らしや母国の話題で盛り上がる参加者たち=仙台市青葉区立町の仙台YMCA4階ホール

<心の救い求めて> 

 仙台藩のキリシタン信仰とは、どのようなものだったのか。旧藩領の寺や旧家にはマリア観音が幾つも残り、キリスト教を連想させる独特の風習が今に続く地域もある。藩内のキリシタンは、迫害のため1650年代ごろ滅んだとされているが、弾圧によって埋もれた史実に光を当てようと活動を始めた研究者がいる。
 「東北にも、九州・長崎とは違う独自の隠れ信仰が続いていたのではないか」。仙台白百合女子大カトリック研究所客員所員の高橋陽子さん(75)=仙台市青葉区=は、仲間とこの調査・研究に挑んでいる。
 江戸幕府はキリスト教禁教令を1612年に直轄領で、その2年後に全国で発する。しかし、伊達政宗はキリシタンに寛容で、仙台藩領は1620年まで信仰が許された。弾圧の激化で、西日本から多くの信徒や神父が領内の鉱山地帯に逃れてきたとされ、遠藤周作氏は著書「切支丹(きりしたん)時代」(小学館)で「仙台地方は日本切支丹が終焉(しゅうえん)した最後の場所だといってよい」と記している。
 東日本大震災で旧跡や古文書の喪失が進む中、岩手、宮城、福島3県の学芸員や牧師ら約10人が、2016年2月に東北キリシタン研究会を設立した。陽子さんは、夫で同研究所支援研究員の邦明さん(75)と自宅で研究会の事務局を担当する。
 メンバーはキリシタンの遺物や墓地、製鉄跡地などを調査し、ほぼ毎月開く会合で意見交換を重ねる。来年1月26日には、泉区の同大で活動報告会を行う。邦明さんは「貧しくも懸命に生きた領民が心の救いを求める対象として、キリスト教と先祖崇拝、山岳信仰などが混合した信仰が残っていったのではないか」との仮説を立てる。
 7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。研究会は、東北でもキリシタンの子孫が名乗り出る機運が高まり、新たな資料の発見につながることを期待する。

<関連ツアー期待>

 知られざる郷土史として、キリシタンに引かれる市民も少なくない。
 観光PR集団「伊達武将隊」が市戦災復興記念館(青葉区)で毎月2、3回実施する歴史講話会「支倉ないと」では、16年12月に取り上げた「仙台藩キリシタン秘話」が好評で、今年8月にもアンコール開催した。藩内で宣教した外国人神父やキリシタン武士らを解説し、20〜80代と幅広い参加者の疑問に答えた。
 武将隊事業を運営する「ハートアンドブレーン」(青葉区)の矢部真澄さん(43)は「武将隊の支倉常長の案内で、殉教地やマリア観音があるお寺などを巡る街歩きやバスツアーを実現したい」と思いをはせる。

 [潜伏キリシタンと隠れキリシタン]禁教期、潜伏キリシタンは寺の檀家(だんか)を装いながらひっそりと独自の信仰を続けた。明治政府が1873年に禁教を解いてもカトリックに復帰せず、先祖崇拝などと混ざり合った潜伏期の信仰を続ける人々は、隠れ(カクレ)キリシタンと呼ばれる。

 [製鉄とキリシタン] 1549年に宣教師ザビエルによってキリスト教が伝わると、労働の過酷さなどから鉱山や製鉄の作業従事者の間でも信仰が盛んになった。禁教期は、移動制限が緩やかだった製鉄労働者に紛れて、多くのキリシタンが逃亡を続けたとされる。

◎留学生ら親睦深める 仙台YMCAクリスマス

 国籍も宗教も文化もさまざまな老若男女が、身ぶり手ぶりや筆談を交えながら和やかに会話を楽しんだ。
 仙台YMCA(仙台市青葉区)が、年末も帰国せず勉強に励んでいる留学生たちを招待する恒例のクリスマスパーティーが、今年は1日夜に市内であった。
 アジアや欧米など約10カ国出身の大学院生や大学生、専門学校生50人と、仙台圏に暮らす家族連れやYMCA職員ら約100人が参加。石巻栄光教会(石巻市)の川上直哉牧師による礼拝と賛美歌合唱の後、豚汁やおにぎり、ローストチキンなどを味わって交流した。
 勤労青年のための英語の夜間学校として始まり、創立113年を迎えた仙台YMCA。1924年には市民向けのクリスマス行事を開催していたとの記録があり、72年から留学生を招く現在の形となった。
 クリスマス実行委員会によると、参加する留学生の多くは今秋に入学したばかり。日本語が十分話せない人もいるという。実行委の土橋敬太さん(31)は「このパーティーが、仙台にたくさんの友達をつくる機会になってほしい」と願う。
 インド出身の東北大大学院環境科学研究科修士課程1年アマン・シャルマさん(21)=青葉区=は「9月から仙台に暮らしている。こちらはとても寒いけど、日本のことをいっぱい学びたい」とにっこり。母親と一緒に初めて参加した富谷市日吉台小3年千葉小綾(さあや)さん(8)は「日本語が上手なアメリカ人とおしゃべりした。外国に行ってみたくなった」と目を輝かせた。

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 仙台圏のキリシタンにまつわる地域の歴史や風習などを紹介します。


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2018年12月20日木曜日


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