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<ILC>誘致支持せず「政府は判断慎重に」 学術会議が最終回答

 岩手、宮城両県にまたがる北上山地が建設候補地の超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」計画の意義を検討してきた日本学術会議は19日、所見を盛り込んだ最終的な回答を文部科学省に提出した。計画に関し「現状の内容や準備状況から判断して、誘致を支持するには至らない」と結論付けた。政府に対しては「誘致に関する判断は慎重になされるべきだ」との見解を示した。
 学術会議が計画推進に向け、予算面や技術面の懸念材料を明確に示した形。政府の誘致判断にどう影響するかが焦点となる。誘致を目指す研究者組織などは、宇宙誕生の謎を探る国際研究拠点となり東日本大震災からの復興加速にも役立つとして、政府への働き掛けを強める構えだ。
 回答は7355億〜8033億円と試算される総事業費の主要部分を日本が負担することについて「(想定される科学的成果に)十分見合うとの認識には達しなかった」と記した。
 加えて(1)国民に提案するには学術界の広い理解が必要でさらに議論が必要(2)国民の知的関心を喚起するが、経済的、技術的波及効果は不透明で限定的(3)国際的な経費分担や人材確保の見通しが不明−と指摘した。
 学術会議の検討委員会は11月、計画に慎重な姿勢を示す回答案を公表。推進する高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)などは「事実誤認や理解不足がある」と反論したが、内容は変わらなかった。
 検討委の家泰弘委員長は同日、文科省の磯谷桂介研究振興局長に回答を提出。家氏は取材に「計画の準備状況を検討し現時点で(誘致支持の)ゴーサインを出すには至らなかった。経費の適正な国際分担なしには進められない」と語った。
 ILCを巡っては2017年11月、研究者の国際将来加速器委員会(ICFA)が加速器全長を31キロから20キロに短縮する新計画案を決定。文科省は今年7月、学術会議に計画に関する審議を要請。政府は回答を誘致の可否判断の材料にするとの姿勢を示してきた。


2018年12月20日木曜日


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