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<広まる公営合葬墓>誰でも入れる設定を

青森市営の合葬墓建設が予定されている月見野霊園

 遺骨を他人と一緒に埋葬する「合葬墓」に取り組む自治体が東北で増えている。費用が抑えられ、自治体が管理をする安心感が市民の需要につながっている。「墓じまい」や後継者の不在など墓に関する問題の解決につながる一方、想定以上の利用希望者が殺到した自治体もあり、手探りの運用が続いている。弘前、秋田、青森の3市から、公営合葬墓の現状と課題を探った。
(青森総局・丹野大)

◎(下)青森市 利用料はいくら?

 現在、青森市は市営合葬墓建設に向けた準備を進めている。設計中の合葬墓は2019年度着工、20年度利用開始の予定だ。
 「合葬墓が建つまでは何とか生きていないといけない。死ぬときぐらい安心させてほしい」。市内の馬場安子さん(81)は、市の取り組みの進展を注視する。
 1人暮らしの馬場さんは数十年前に離婚。1人で育てた娘は結婚し、市内で相手方の家族と暮らす。「娘には家族があり、向こうの親との関係もある。自分の墓の問題を頼むなんて考えられない」と語る。
 「一日も早く完成してほしい」と思いを募らせる馬場さんが、気に掛けているのは生前予約の倍率と利用料だ。市は生前予約を受け付ける方針だが、秋田市のように希望者が殺到すれば先着順、抽選のどちらが採用されても予約できない可能性がある。
 永代使用料は今後設定される。秋田市は1万7000円、弘前市では6万円だが、青森市は一時的に遺骨を安置する納骨棚を設けるため単純に比較できない。
 馬場さんは市営合葬墓を知る以前、五所川原市の永代供養墓を予約した。合葬形式で、費用は5万5000円。「できれば生まれた場所の青森市に埋めてほしい。安ければ安いほどいいが、7万円ぐらいに収まれば助かる」と吐露する。
 青森市議会は昨年、合葬墓の早期建設を求める請願を採択した。しかし、低所得者向けの利用料減額措置を求める請願については不採択とした。
 請願を提出した「合葬墓の早期建設を求める会」の成田明雅代表は「市民が安心できるよう合葬墓は誰でも利用可能な利用料設定にするべきだ。低所得者や生活保護受給者も入れる措置を講じてほしい」と語る。

[合葬墓]他人と一緒に遺骨を埋葬し、墓石を共有する方式の墓。宗教法人などによる民営、自治体による公営がある。一般的に、後継者を必要としない。1990年代から全国各地に広まっている。東北では郡山、秋田の両市などで利用が始まった。計画する自治体は増えている。


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2018年12月20日木曜日


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