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<IWC脱退方針>捕鯨基地・石巻地方、歓迎と危惧「経済効果に期待」「国際的な理解を」

調査捕鯨で鮎川港に水揚げされたミンククジラ。「鯨の町」は商業捕鯨再開の行方を注視する=4月10日、石巻市

 約30年にわたって閉ざされてきた商業捕鯨に再開の兆しが表れた。国内有数の捕鯨基地として栄えた石巻地方では経済効果への期待が高まる一方、強硬にも映る政府判断を危惧する声も上がった。クジラを軸に東日本大震災からの復興を目指す地域もあり、「鯨の町」再興へ推移を見守る。
 石巻市鮎川浜は明治時代、国内最大の近代捕鯨基地があり「卵がなくてもクジラはある」と言われるほど、生活に浸透していた。
 同地区でクジラ料理を提供する「黄金寿司」の古内勝治さん(74)は「客はクジラが珍しいと喜んでくれるが、今は鯨肉の確保に苦労している。商業捕鯨が再開すれば、地元の雇用拡大など大きな経済効果が生まれる」と歓迎する。
 木の屋石巻水産(石巻市)は1957年の創業時からクジラ加工品を看板商品としてきた。木村優哉社長(34)は「商業捕鯨が可能になれば原料のクジラの仕入れ値も安定し、消費者も買いやすくなる。小売店からは商業的ではないクジラはPRしづらいという声もあり、その面でもプラスに働いてほしい」と望む。
 調査捕鯨やツチクジラの加工を手掛ける鮎川捕鯨(石巻市)の伊藤信之社長(55)は「(捕鯨産業が)どういう形になるか見通せない」と話しつつ「子々孫々までクジラを継承していくのがわれわれの使命。どんな形になっても続けていく覚悟だ」と力を込めた。
 鮎川浜地区には来年度、震災で全壊した「おしかホエールランド」が再建される。市牡鹿総合支所地域振興課は「施設のオープンと商業捕鯨の再開が重なれば、観光振興の追い風になる」と待望する。
 一方、国際社会からの批判を危惧する見方もある。
 石巻魚市場(石巻市)の須能邦雄社長(75)は「どういう戦略で脱退という結論に至ったのか。全体像が見えない」と懸念。日本の主張が聞き入れられなかった経緯を踏まえ「われわれはクジラを食べたいしクジラ産業を存続させたい。国際社会の理解を得ることが必要だ」と強調する。
 亀山紘石巻市長は「IWCの中で国際的に認められた上での再開が望ましい。脱退すれば国際的な批判も起きる。簡単に捕鯨再開を打ち出せるかどうか難しいのではないか」と話した。


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2018年12月21日金曜日


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