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<東北療護センター>委託先病院と分離検討、運営に暗雲 交通事故からの回復願う患者側、募る不安

広南病院(右)の移転に揺れる東北療護センター(左)。建物は渡り廊下で結ばれている

 交通事故による遷延性意識障害者専用の医療施設「東北療護センター」(仙台市太白区)の運営に暗雲が漂っている。隣接する広南病院が近く移転するのに合わせて病院と患者側がセンターの移転も求めているものの、所管する独立行政法人「自動車事故対策機構」が難色を示しているためだ。回復を願う患者側は高水準の医療が継続されるかどうか、不安を募らせる。
 センターは自動車損害賠償責任(自賠責)保険の保険料が原資となる国の自動車安全特別会計により、機構が全国4カ所で運営する療護施設の一つ。1989年開設でベッド数は50床。脳疾患治療で全国屈指の広南病院に業務委託され、病院とは渡り廊下で接続。実質的に病院病棟の一部として機能してきた。
 85年完成の広南病院は老朽化と手狭さを理由に、現在地から約4キロ離れた場所での移転新築を決定。来年夏前に着工し、早ければ2020年度内に完成する。
 病院からセンターの同時移転の検討を求められた機構は17年秋、建物の残存価格があることなどを理由に「困難」と回答。その後は国土交通省を交えて協議し、病院と機構は今年5月、センターを現在地で適切に運営する方向で検討するとの確認書を交わした。
 機構の浜隆司理事長は、広南側が引き続き業務受託することを前提に「医療水準が落ちなければ、土地を取得して同時移転する必要はないと判断した。将来的にも病院の移転先に移るかは未定だ」と説明する。
 一方、広南病院の藤原悟院長は「機構と国交省の強い要望で不本意ながら確認書を交わしたが、(センターと病院の)分離は『検討』対象で同意したわけではない。病院が移り自分は(センターに)残ることを患者はどう思うか」と強調。機構の考えと大きく隔たる。
 患者側の考えも病院に近い。東北各地の遷延性意識障害者の患者家族でつくる「宮城県ゆずり葉の会」(樋渡晃会長)は11月下旬、「分離すれば連携が低下する。患者家族の安心には同時移転以外の選択肢はない」とする要望書を機構に提出した。
 機構と特別会計は旧民主党政権下の事業仕分けや独法改革で解体・廃止が議論されたが、患者側が必要性を訴えたこともあって継続した経緯がある。「今回は思いをくんでほしい」というのが患者側の本音だ。
 移転を巡る問題は宮城県も把握する。医療政策課は「解決には患者側の理解と安心が不可欠だ。不安解消のため、機構は分離移転後の(病院との連携などの)見通しを示すべきだ」と話す。


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2018年12月21日金曜日


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