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<311次世代塾>第2期 第11回講座 再生には人のつながり必要

震災翌年の初舞奉納で勇壮に演じられた浪板虎舞=2012年1月15日、気仙沼市の飯綱神社

 若者が東日本大震災で起きたことに向き合う通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」第2期の第11回講座が15日、仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパスであった。今回から復興期を扱う第3フェーズに入り、テーマは「なりわい・地域再生」。宮城県南三陸町の水産加工会社「行場商店」社長の高橋正宜(まさよし)さん(57)、気仙沼市の「浪板虎舞保存会」会長の小野寺優一さん(77)の2人が講師を務めた。

◎従業員の力再開に必須 行場商店社長高橋正宜さん

 サケ・マスの加工を主事業とする行場商店は、2011年3月の震災で志津川湾に面する第1、第2工場が全壊した。高台にあった冷凍倉庫は残ったが被害総額は約10億円にも上った。
 高橋さんは「冷凍倉庫もさることながら、従業員70人が全員無事だったことで3月中には事業継続を決められた。家族の後押しも大きかった」と振り返った。
 8月に第1工場、翌年5月には第2工場も新築し、操業を完全に再開。「販路を維持するため、とにかく早く再開したかった」と強調した高橋さんは「操業再開には従業員が欠かせない。犠牲が出ていたら再生できなかった」と語った。
 企業地震保険やグループ化補助金制度にも言及し、「大変救われた仕組みだが、補助金は慌てて整備された。災害後の再生支援に向け事前の議論が必要だったのではないか」と訴えた。

◎伝統芸能地域の支えに 浪板虎舞保存会会長小野寺優一さん

 2人目の小野寺さんは冒頭、気仙沼市浪板地区に約300年前から伝わる伝統芸能「虎舞」について解説。「虎舞は地区全体で保存に取り組んでいたが、震災で地区は壊滅、住民約30人も犠牲となり、虎舞も存続が危ぶまれた」と話した。
 しかし、震災から2カ月後、米国の高校からの支援をきっかけに保存会は活動を再開。小野寺さんは「その後、各地へ遠征したが、まだ浪板は地獄のような有様。批判もあった。だが、まずは自分たちが元気になろうという呼び掛けに、子どもをはじめみんなが応えてくれた」と涙ぐんだ。
 「虎舞という伝統芸能が浪板の連帯と協調を培った」と力を込めた小野寺さんは「伝統芸能を継いでいくには若い力が要る。地域の文化に目を向けて地域づくりに意欲的に関わっていってほしい」と呼び掛けた。
 講話後のグループ討論では受講生から「人と地域のつながりの大切さを改めて実感した」「事業も伝統芸能もまずは人が助からないと継続できないことを学んだ」といった意見が出た。

[メモ] 311「伝える/備える」次世代塾を運営する「311次世代塾推進協議会」の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工業大、宮城学院女子大、尚絅学院大、仙台白百合女子大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構。協議会事務局は河北新報社防災・教育室=メールjisedai@po.kahoku.co.jp

◎受講生の声

<事前に法整備を>
 人と人のつながりで信頼関係が生まれ、それが災害から立ち上がる原動力にもなると感じました。自然災害に関する法整備や行政との連携を、災害前から少しずつでも進めておく必要があると思います。(仙台市青葉区・東北福祉大2年・沢井聡玖(あきひさ)さん・19歳)

<若者の力が必要>
 地域再生には若者の力が必要だと学びました。伝統芸能はSNS(会員制交流サイト)を使って発信すれば、より浸透するだろう。災害を防ぐだけでなく、被害をどれだけ減らせるかも考えたいです。(仙台市若林区・東北工業大2年・安田琉来(りゅうき)さん・20歳)

<人の思い不可欠>
 人の思いが復興を進めると知りました。事業再開は従業員あってこそ。その命を守ることは雇用主の最低限の責務です。伝統芸能の「人をつなげる力」も実感しました。地元を知り、地域の活性化に貢献したい。(塩釜市・宮城教育大4年・今川くるみさん・21歳)


2018年12月21日金曜日


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