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飼料用優遇の転作補助金、業務用米「支援対象に」 中食業界、政策転換求める

 国による生産調整(減反)の廃止元年となる2018年産米の生産量がほぼ確定した状況で、飼料用米重視の転作補助金の在り方を巡る議論が熱を帯びている。おにぎりや弁当を生産する中食業界や輸出に乗りだしたコメ卸は、業務用米や輸出用米の調達に苦戦しており、産地に生産を促す政策を望む。識者は新たな需要に対応できる補助体系の検討を促す。(東京支社・小木曽崇)

<10アールで10.5万円>
 「需要側が必要とする業務用米を生産拡大する策はないのか」
 11月28日、19年産米の適正生産量が公表された農林水産省の会議。セブン−イレブン・ジャパンにおにぎりや弁当を納入するわらべや日洋ホールディングス(東京)の妹川英俊会長は、業務用米生産に対する補助金の創設を求めた。
 国は主食用米から他の作物への転換を支援するため、生産者向けに「水田活用の直接支払い交付金」を設ける。作物別の助成単価は飼料用米が10アール当たり最大で10万5000円。3万5000円が助成される麦・大豆・飼料用トウモロコシの3倍に当たり、飼料用米優遇が際立つ。業務用米は主食用米に当たるため交付対象外だ。
 輸出用米など「新市場開拓用米」は18年産から対象に加わったものの、単価は2万円。表の通り作付面積は増えたが、飼料用と比べ依然少ない。
 コメ卸最大手で輸出にも取り組む神明(神戸市)の藤尾益雄(みつお)社長は「飼料用の方が交付金単価が高く、生産者は輸出用に力を入れてくれない。単価を上げると、やる気になってくれるんじゃないか」と提言する。

<農協は消極的>
 農協グループは飼料用米の交付金単価維持と制度の恒久化を求めるが、輸出用や業務用への補助拡充には消極的だ。12月6日の記者会見で全国農業協同組合中央会(全中)の金井健常務は「業務用米については(全中が事務局となって)商談会を行っており、しっかり需給を結び付ける」と述べるにとどまった。
 東北大大学院の冬木勝仁教授(農業市場学)は「供給過剰にならないための交付金は必要。農家の立場に立てば飼料用米が最も作りやすい」と現行補助体系の果たす役割を説明する。
 一方で業務用米の需要増、輸出拡大の機運醸成といった市場の変化を踏まえ「業務用専用品種の作付けを前提とした交付金は必要だ。交付金の配分を改めて検討した方がいい」と話す。


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2018年12月23日日曜日


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