宮城のニュース

<18みやぎ回顧>(7)水道のみやぎ型管理運営方式 危機感県民と共有必要

県企業局が初めて開いた施設見学会。水道事業者や金融機関、大手商社の関係者ら約100人が参加した=5月30日午前11時ごろ、白石市の南部山浄水場

 水道事業への民間参入を促す改正水道法が今月6日に臨時国会で成立し、「水道が民営化される」と全国的な注目が集まった。
 「事業主体であり続ける県が全ての責任を負う」。改正法の成立を受け、村井嘉浩知事は報道陣の前で強調。10日の記者会見では用意したパネルを使って意義や利点を説いた。
 村井知事が約2年にわたり、導入に向けて検討してきた「みやぎ型管理運営方式」。法改正は「一丁目一番地」と自ら位置付けた重要政策の前提だった。
 法案が審議された臨時国会で参院厚生労働委員会の参考人質疑にも出席。質疑があった11月29日の1週間ほど前に国から県側に打診があり、28日に都内出張があった村井知事は出席を快諾したという。
 初めての参考人招致とあって「意気揚々としていた」(県幹部)。地方から国を動かすことに政治の役割を見いだす村井知事からは、みやぎ型方式導入への強い意気込みを感じた。
 水道事業への民間参入に懸念は根強い。料金引き上げや撤退のリスクが残るとの指摘がある。代替が効かないインフラだからこそ、強い不安が訴え続けられるのだろう。
 取材を通して、水道事業が直面する厳しい状況をあらためて認識した。厚生労働省の資料によると、人口減で水需要は50年後には2000年比で約4割減る。水道管の老朽化も著しく、全てを更新するには130年以上かかるとの見通しもある。
 水道の維持には料金引き上げを意識せざるを得ないのも実情だ。みやぎ型方式への賛否を別にして、何らかの手だてを打つことに反対は寄せられないと思う。
 ただ、宮城県民が危機感を共有する機会は現状で圧倒的に不足している。県の考えをただす要望書を提出した市民団体の代表は「反対と言うにしても、情報が足りない」と打ち明けた。
 県が目指す導入時期まで3年あまり。改正法の成立を受け、導入に向けた県の動きは加速するが、優先すべきは、県民の不安を解消し、どう利益を得るかだ。県民を置き去りにして議論が進むことがあってはならない。
(報道部・樋渡慎弥)

[メ モ]県は広域上水道、工業用水道、広域下水道の3事業の運営を担ってきた。人口減による水需要の減少を踏まえ、3事業の運営を一括して20年間、民間企業に委ねることを目指す。民間ノウハウの活用でコスト削減を図り、将来的な料金引き上げ幅抑制を狙う。


関連ページ: 宮城 政治・行政

2018年12月24日月曜日


先頭に戻る