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イノシシ駆除へ地域猛進 作物被害急増、住民有志らわな免許一斉取得「食害に悩む他地域の手本に」

捕獲したイノシシを運ぶメンバー

 イノシシによる農作物の被害が相次いでいる栗原市一迫大川口地区で、住民有志らが一斉にわな免許を取得し、駆除に取り組んでいる。今冬から活動を始め、既に3頭を捕獲した。地域を挙げて、わな猟に乗り出す試みは宮城県内でも極めて珍しいとみられる。メンバーは「食害に悩む他地域が『自分たちも頑張ろう』と思えるよう、実績を上げたい」と意気込む。

<90キロ超大物捕獲>
 「今回のは、かなりでかいな」「こんなのが畑に来ていたら大変だった」
 今月19日、同地区の民家の作業場。集まったメンバーが体長約1.5メートル、重さ90キロ超のイノシシを長机に乗せ、解体作業に取り掛かった。これまで捕獲した中で最も大きい。ナイフを扱う表情は真剣そのものだ。
 メンバーは46〜76歳の農家や林業従事者ら14人。いずれも今秋、免許を取った。10月には全国組織の大日本猟友会に入会し栗原南支部長崎分会を組織。現在は地域内に、くくりわな約50個と箱わな5基を設置する。
 きっかけは農村で深刻化する農作物の被害だった。5年ほど前に確認され始めたイノシシによる被害は2016年に急増。畑の芋類や山のタケノコなどを食い荒らされる被害が相次いだ。
 中でも農家を悩ませたのが臭気。イノシシは田んぼに寝転がるのを好むため、稲に特有の臭いが付く。「たちが悪いことに出荷時は臭みが出ないが、炊いてから悪臭を醸すことが多い」(メンバー)。顧客から苦情が来た農家もいた。

<通年活動要望へ>
 「地域を挙げてイノシシ駆除に乗り出そう」と有志数人が今春、地域の会合で提案。集落に免許取得を呼び掛けるチラシを配って回り、現在のメンバーが集まった。
 近くで活動する同支部一迫分会の指導を受け、獣道の見つけ方や、わなの設置ポイントの選定方法を学んだ。わな作りを担う石森博さん(70)は「最初に捕獲した時は高揚した。地域課題を解決する道が開けたと思った」と振り返る。
 市によると、15年に約7万円だったイノシシによる市内の農業被害額は16年に約68万円、17年は約175万円に増加。18年は11月現在、既に過去最高の約177万円に達した。市の担当者は「来年は亥(いのしし)年だが、地域では厄介者。頭が痛い」と話す。
 長崎分会が活動できるのは狩猟期の3月末まで。通年でわなを設置できるようになるには、一定の経験を積んで行政の許可を得る必要がある。分会では今後、できる限り早く通年で活動できるよう行政側に要望する予定だ。
 分会長の大内武義さん(66)は「暖かくなればイノシシはさらに活発になる。農地の荒廃は集落の荒廃につながる。主体的に活動し、農村を維持していきたい」と力を込めた。


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2018年12月25日火曜日


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