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松島に滞在中の国際同性カップル 環境や意識の差に戸惑い「他とちょっと違う形の家族もいると理解を」

子どもたちと過ごす飯塚さん(左)、フォックスさん(右)。毎日の成長を見るのが楽しいという

 半年ほど前から宮城県松島町に滞在中の飯塚亜紀子さん(38)=埼玉県八潮市出身=とナターシャ・フォックスさん(37)=米オレゴン州出身=はカナダで国際結婚し、2人の子どもを育てる同性カップル。カナダでは2005年に同性婚が法制化され、子育てをする同性カップルも珍しくない。同性婚が認められていない日本での生活に戸惑いや不安があるといい、理解を求めている。

<子育て支援も>
 「かわいいね、どちらがお母さん?」「お父さんは?」
 町内で長男(2)、次男(1)と一緒に外出すると、よくこう尋ねられる。多くの日本人は同性カップルの「家族」が念頭にない。多様な家族の在り方が浸透するカナダではされることのない質問に、2人は少し困ってしまう。
 「どう答えればいいか、その場その場で考える。日本では家族として存在していないと感じる」とフォックスさん。「カナダとの環境の違いに『カルチャーショックを受ける』と聞いていた通りだった」と飯塚さんは打ち明ける。
 一家の住まいがあるバンクーバー東部は性的少数者(LGBT)や移民が多い地域。児童館では多くの同性婚家族と顔を合わせ、同性カップル向けの子育て支援プログラムもあった。カナダでも恵まれた環境だっただけに、人々の意識の差を強く感じるという。

<親権ない状態>
 2人は10年前に日本で出会った。飯塚さんはカナダの永住権を取得していて当時は帰国中、フォックスさんは留学中だった。2010年にカナダへ渡り、14年に結婚。同性カップルにボランティアで精子を提供した男性の協力を得て、飯塚さんが2児を出産した。
 今回の日本滞在は、ブリティッシュコロンビア大地理学部博士候補生のフォックスさんの研究のため。今年1月に来日し、来年1月にカナダに帰る予定だ。
 日本では法律上、2人は家族ではない。フォックスさんは文化活動ビザで、飯塚さんと子ども2人は日本のパスポートで入国した。男女の結婚や、外国人同士の同性婚では配偶者の在留資格が認められるが、日本人と外国人の同性婚には当てはまらない。
 飯塚さんはひとり親として扱われ、フォックスさんは親権がない状態で「日本で子どもに何かあってもナターシャに決定権がないのは困る」と飯塚さん。

<「結婚に責任」>
 東日本大震災後の性的少数者の動きを研究しているフォックスさんは「性的少数者はどこにでもいるが、多くの日本人はそれを当たり前と感じていない。多様性を尊重し、他とちょっと違う私たちのような形の家族もいると理解してほしい」と訴える。
 カナダでは1年以上同居しているカップルに結婚とほぼ同様の権利が保障される「コモンロー」という仕組みもあるが、2人は「家族として生きていく」(飯塚さん)決意をして結婚を選択した。「結婚の責任をいい意味で重く感じる」とフォックスさんは語る。
 長男はフォックスさんを「ママ」、飯塚さんを「たーたん(母さん)」と呼ぶ。フォックスさんは子どもたちと血のつながりはないが「家族は血からできるものではなく、選ぶことと愛からできる」と気に留めない。絵本など使い、家族には多様な形があることや自分たちの家族の形、誕生の経緯について伝えているという。


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2018年12月25日火曜日


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