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<B型肝炎>長年の治療や偏見の苦しみ知って 東北福祉大が患者招き講義

B型肝炎を患う女性(手前右端)の話に耳を傾ける学生=3日、東北福祉大

 看護師や保健師を目指す学生に、集団予防接種での注射器の使い回しによるB型肝炎感染被害の実情を理解してもらおうと、東北福祉大(仙台市青葉区)は今月、宮城県内の患者2人を招いた講義を開いた。健康科学部保健看護学科の約80人が長期にわたる治療や偏見に苦しんだ体験談を聞き、患者の視点で接することの大切さを学んだ。

 「医師と看護師がB型肝炎患者を略して『Bちゃん』と呼んでいた」。20年以上、慢性肝炎を患う50代女性が学生に語り掛けた。
 出産後、処置を受ける際に聞こえてきた医師と看護師とのやりとりのことだ。当時はB型肝炎患者を隔離するのが当たり前だった。看護師が女性の診察順を最後にした理由を「Bちゃんだから」と説明すると、医師が「君、頭いいね」と笑って返したという。
 女性は医療従事者にすら差別や偏見があることを強調し、「問診票にある病名だけで決め付けず、患者の心の声に耳を傾けてほしい」と訴えた。
 60代男性は肝がんを患い、3回の手術を経験した。その都度、痛みに苦しみ、食欲低下の症状が出たことを振り返った。「5年間の再発率は約8割。手術の経済的負担もあり、一体いつまで続くのかという不安は絶えない」と心情を語った。
 看護師を目指す2年生の若山千恵さん(19)=宮城野区=は「患者の生の声を聞くのは初めてで、病院内にも偏見があったことに驚いた。患者の苦しみを酌み取れる看護師になりたいと思う」と感銘を受けた様子だった。
 東北福祉大での患者による講義は、B型肝炎感染東北訴訟の原告弁護団の働き掛けで2015年に始まり、今回で3回目。健康科学部の下山田鮎美准教授は「学生は毎回、当事者の言葉に重みを感じている。講義をきっかけに患者の立場に立って考えられる人材を育てたい」と話した。

[B型肝炎]血液や体液を通じて感染するウイルス性の肝臓病。集団予防接種での注射器の使い回しが感染原因として国の責任を問う集団訴訟は2011年、国が給付金50万〜3600万円を支払うことで合意。患者が差別を受けないための啓発活動も合意に盛り込まれ、医療従事者の養成機関は偏見防止教育を拡充している。東北訴訟弁護団によると、患者による講義は14年1月〜今年11月末、全国で212回あった。


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2018年12月25日火曜日


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