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<東北の地銀>出向行員「現場」学ぶ 店頭販売や製造を体験、コンサルタント機能強化へ

カネダイの商品を店頭で客に紹介する七十七銀の樋渡さん(右)=気仙沼市

 東北の地方銀行がコンサルタント機能強化のため、企業に出向させた行員に物販や製造など金融の枠を超えた業務を体験させる派遣に取り組んでいる。現場での体験を通じて企業の課題を的確に捉え、低金利時代の地銀と地域経済を支える人材を育てるのが狙いで、行員にとっても知見を広げる機会になっている。
 七十七銀行は3月、入行9年目の樋渡準弥さん(31)を気仙沼市の水産加工業カネダイに派遣した。工場勤務などを経て、現在は直販事業を担当している。
 扱う商品は「かに物語」のブランド名の南大西洋産マルズワイガニ。通販サイトの更新、百貨店の催事など業務は多岐にわたる。樋渡さんは「物産展の店頭販売が印象深い。お客さん一人一人の反応が違っていて驚いた」と話す。
 カネダイは2017年、東日本大震災で被災した工場を再建。今後、樋渡さんが担当する直販事業を経営の柱に据える。熊谷公男直販事業長は「現場の最前線で水産加工の課題を学び、新たな発想で事業に関わってくれた」と評価する。
 被災地では、工場を再建しても販路回復などに苦戦する水産加工業者が多い。七十七銀人事研修課の担当者は「銀行に戻ったら派遣先での経験を水産加工業者の経営支援に生かしてほしい」と期待する。
 東北の地銀の外部派遣は取引先の経営改善のため、行員を経理部門に出向させるケースが一般的で、現在も続けている。一方、近年は人口減少と低金利で本業が苦しく、収益源としてコンサル機能が重視されると、各行は企業の業務を体験させる派遣を取り入れた。
 みちのく銀行(青森市)は年間10〜15人の行員を派遣する方針。入行12年目の福士修平さん(34)は今年4月、再生エネルギー関連の投資を手掛ける一般社団法人グリーンファイナンス推進機構(東京)に出向した。
 青森県内で事業が活発化する風力や太陽光に加え、小水力など幅広い案件に関わる。事業者や自治体、森林組合と面談を重ね、山中の事業予定地を視察する。採算性だけでなく技術面の評価にも関わり、専門家とやりとりする機会も多い。
 福士さんは「青森にも小水力やバイオマス発電の潜在力があると気付いた。地銀が先頭に立って地元の利益につなげられるよう知見を吸収したい」と意気込む。機構の高橋春彦事業部長は「事業の将来性や可能性を見極める力を身に付けてほしい」と願う。
 北都銀行(秋田市)営業推進部の伊藤潤哉さん(32)も生命保険会社や病院に派遣され、離職率を下げる経営や社内教育を学んだ。伊藤さんは「銀行業界の常識を見直すきっかけになった。人口減の時代に求められる経営支援に生かしたい」と語る。


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2018年12月25日火曜日


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