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<18みやぎ回顧>(9)仙台市のいじめ・体罰対策/教員の意識改革が急務

仙台市のいじめ防止条例の骨子案に寄せられた主な意見。市民の関心の高さがうかがえた

 東日本大震災から8年目となった2018年、宮城県内では行政に対する信頼をゆるがせるミスやトラブルが相次ぎ、尊い人命が失われる事件や事故も後を絶たなかった。紙面を飾った主な出来事を、最前線で取材に当たった記者が振り返る。

 遺族の言葉は重い。仙台市の教育に携わる人たちはどう受け止めるだろうか。
 「マニュアルや条例も大事だが、教育現場は緊急を要する。早急に学校環境を改善してほしい」
 泉区南中山中2年の男子生徒=当時(14)=が2016年2月に自殺した事案を再検証した市いじめ問題再調査委員会の答申を受け、生徒の父親が21日に記者会見し、こう力を込めた。
 答申は自死を巡り、同級生らによるいじめや学校対応の怠慢など「複数の要因が関係した」と分析。さらに「全て学校環境の改善で解決が可能だ」と付け加えた。つまりは、防げたかもしれないということだ。
 市内では14年9月以降、市立中の生徒3人がいじめ被害を訴え、相次いで自ら命を絶った。3件目の折立中の生徒は教諭2人から体罰も受けていた。
 市教委の「いじめ防止マニュアル」があっても、学校の対応が不誠実なら実効性は伴わない。教職員が意識を変え、子どもが安心して学べる環境にしないと、悲劇は再び起きてしまう。
 郡和子市長はいじめ問題を最重要課題と位置付け、再発防止に向けた取り組みを一歩ずつ進める。
 35人以下学級を中学2年にまで拡大し、スクールカウンセラーも増やした。いじめ防止条例の骨子案では、大人の言動がいじめを誘発するとして教職員の体罰に加え、暴言や威圧的な指導も禁じる方針を示した。
 市の第三者機関、いじめ対策等検証専門家会議が郡市長に提出した提言は、教職員の意識改革や全庁的支援の重要性を指摘した。
 いじめや体罰防止の枠組みが徐々に整う一方、危機意識を欠く教職員もいる。
 17年度には、287件の体罰や不適切な指導が発覚。市教委は教職員212人を処分した。つい最近も中学校教諭が「殺すぞ」と生徒に不穏当な発言したことが明らかになった。
 17年度の市立学校のいじめ認知件数は1万4132件に上る。市教委は「丁寧に把握しているため件数が多い」と説明するが、対応がおざなりでは救える命も救えなくなる。
 子どもとどう向き合い、いじめから守るのか。新条例の制定を待つまでもなく、教職員はいま一度、考えてほしい。(報道部・田柳暁)

[メモ]仙台市内では2014年9月に泉区館中1年の男子生徒=当時(12)=が自死して以降、3件のいじめ自殺が相次いだ。17年4月の青葉区折立中2年の男子生徒=同(13)=の事案では、市いじめ問題専門委員会がいじめや体罰の状況などを調べている。


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2018年12月26日水曜日


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