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障害者グッズ、善意に頼らず完成度で勝負 仙台の就労施設、開発に奮闘

東北楽天の応援グッズになったトートバッグを掲げる(左から)沼崎さん、中島さんら。手前右に並ぶのが手拭い=仙台市青葉区の多夢多夢舎中山工房
みどり工房若林の人気商品「ショパンチ」
一般社団法人アート・インクルージョンのノートや缶バッジ

 障害者の感性や発想を最大限生かしつつ、「福祉を前面に出さない商品」が仙台市内で増えている。福祉施設で描いた絵や模様を素材に、デザイナーらとの協働で高い完成度の商品に仕上げる。障害者の働きがいと収入増につながるが、売れ筋商品はまだ一部。関係者は「グッズ自体の価値で選んでほしい」と話す。
 市中心部の仙台フォーラスにある雑貨店。おしゃれな小物コーナーの一角に、今年3月から藍色やオレンジ色の手拭いが並ぶ。
 青葉区の就労施設「多夢多夢舎中山工房」に通う知的障害者が、柔らかな丸の模様やアニメに着想を得た独自キャラクターをデザインした。2014年、地元の染め物業者と提携し、商品化。1枚1000〜1200円で東京や神戸市など宮城県内外の10店で販売する。
 内装デザインの経験がある職員沼崎麻衣子さん(42)は「作品にはなるべく手を入れず、大きさや配置、色合いを考える。目指すのは自分が欲しくなるような商品。ボツにすることもある」と明かす。購入後に福祉施設の商品と気付いてもらうのが理想だ。
 多夢多夢舎に通う中島敏也さん(36)は11月、チアリーダーのイラストがプロ野球東北楽天の応援グッズに採用された。トートバッグなどが商品化されており、販売数に応じてデザイン料を受け取る。「人物を描くのが好き。商品になってうれしい」と喜ぶ。
 商品に障害者の作品を取り入れる動きは、西日本を中心に約20年前に始まった。購入者の善意に頼らず、商品の訴求力で勝負する。作り手も工賃とともに充実感を得られる。東日本大震災をきっかけに支援団体が被災地に入り、仙台でも取り組みが広がった。
 精神障害者の就労施設「みどり工房若林」(若林区)が15年から販売する「ショパンチ」シリーズは人気商品に成長した。デザイナーと協力し、ピアノの鍵盤をモチーフにしたペンケースなど10種類をそろえる。昨年は約120万円を売り上げた。
 ただ、売れ筋を送り出す施設はまだ少数派。アートを仕事に生かす就労施設「アート・インクルージョン・ファクトリー」(青葉区)はノートや缶バッジ、Tシャツなどを製作。主な価格帯は200〜3000円だが、売り上げが月1万円台にとどまることもある。
 元宝飾デザイナーの職員佐々木桂さん(31)は「商品はたくさんあるが、売り上げに結び付かない。若い感性のグッズが多いので、福祉バザーとは異なる販路を開拓したい」と語る。


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2018年12月26日水曜日


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