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<原子力施設 東北この1年>(下)再処理工場、審査議論ほぼ終了 大間は先送り

雨水流入が発覚し、審査中断の原因にもなった非常用電源建屋近くの配管ピットを視察する規制委=6月
東通原発の再稼働目標延期を青森県に伝える東北電幹部=5月
大間原発を初めて現地視察する規制委=11月
操業開始時期の延期をむつ市に伝えるRFS幹部=21日

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で、稼働や本格工事の停止・中止を余儀なくされた東北の原子力関連施設は今年、再稼働目標や操業開始時期の延期が相次いだ。
 東北電力は、震災で自動停止した女川原発1号機の廃炉を決めた。今後の廃炉作業に伴う地域への影響が懸念される。
 原発の使用済み核燃料から再処理で取り出すプルトニウムは新エネルギー基本計画で削減方針が打ち出され、核燃料サイクルの見通しは不透明さを増した。
 震災から7年9カ月が経過した各施設のこの1年を振り返る。

◎審査議論ほぼ終了/再処理工場・MOX燃料工場 青森県六ヶ所村

 保安規定違反のトラブルが相次ぎ、2017年10月から中断していた再処理工場の新規制基準適合性審査が今年5月に再開され、主な議論はほぼ終了した。原子力規制委員会は18年度内を視野に、合格証に当たる「審査書案」をまとめる。
 審査は、17年8月に発覚した非常用電源建屋への雨水流入などで中断された。日本原燃は今年4月に「改善の取り組みが軌道に乗った」として、規制委に審査再開を申し入れた。
 再開後は火山灰や航空機落下の対策、審査中断の原因となった品質保証活動の体制を説明し、規制委の理解を得た。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場の審査も大枠で終えた。
 審査書案はパブリックコメントを募った上で、正式決定となる。原燃は再処理工場完成を21年度上半期と見込む。
 今後は詳細設計や、工事方法に関し認可を受ける必要がある。原燃は数回に分けて申請を行っている。施設の性能を確かめる「使用前検査」も控える。

◎「21年度以降」表明/東通原発 青森県東通村

 東北電力東通原発の新規制基準適合性審査は、重要施設直下の断層に関する議論を終えた。審査の状況を踏まえ、東北電は5月に再稼働目標を2019年度以降から21年度以降に延期すると表明した。
 活断層の場合、再稼働が許されない重要施設直下の断層は三つあった。議論が続いていた2断層のうち、「f−1」断層は活動性がないと確認された。直上に取水口がある「m−a」断層は活動性の立証が困難として、断層を避ける形で取水口を増設する。
 敷地や敷地近くに震源として考慮すべき活断層の有無について、東北電は活動性を評価する断層に「一切山(ひときりやま)東方断層」を選び「活断層はない」と主張する。
 北隣に計画されている東京電力東通原発は、建設再開に向けて他の大手電力会社を対象に共同事業者を募る方針。8月に予定地の地質調査を始めた。

◎着工目標20年後半/大間原発 青森県大間町

 電源開発(Jパワー)は大間原発の運転開始時期を2年延期し、2026年度に先送りした。新規制基準の適合性審査に時間がかかっているためだ。延期に伴い安全対策工事の着工目標は20年後半になった。
 審査はまだ序盤。敷地の地質構造に関する主な論点が出そろい、規制委は今年11月に初めて現地を調査。重要施設直下の「cf断層系」などを確認した。
 事故発生時の対策拠点となるオフサイトセンターは、むつ市大畑町の旧田名部高大畑校舎敷地への立地が決まった。
 北海道函館市の市民団体が建設差し止めなどを函館地裁に求めた訴訟は、請求が棄却された。市民団体は札幌高裁に控訴し、12月に口頭弁論が始まった。

◎津波対策が論点に/使用済み核燃料中間貯蔵施設 むつ市

 リサイクル燃料貯蔵(RFS)がむつ市に整備を進める使用済み核燃料の中間貯蔵施設は、操業開始時期が今年後半から2021年度へ延期された。
 新規制基準の適合性審査が長引いていることがその理由。ただ、審査は大詰めを迎えている。敷地内外の地盤や地震動評価、津波評価の議論を終えた。
 敷地から約14キロにある恐山の将来的な火山活動を巡り、RFSの「マグマ噴火に伴う火砕流が、施設に影響する可能性は十分に小さい」との主張も「妥当な検討がなされた」とされ、火山影響評価の議論も終了した。
 残る審査の論点は津波に対する設備の防護対策。結論が出るまでにはなお時間がかかりそうだ。


2018年12月26日水曜日


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